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ケース1 密室殺人事件を妄想する御令嬢【解決編】
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「当時、まだ防犯カメラなどはなかったはずだから、ホテル側の人間と言う立場を利用してお客を装うというのは、中々に賢いと思いますわ。ただ、少しばかりボロが出てしまいましたわね。念のために持ち出した鍵を落としてしまったのも大きなミスでしたわ。雪が降ってしまった――というのも、犯人にとって想定外だったと思いますわ」
「でも――その雪が降ったせいで、密室という奇妙な状況が生まれてしまった。そして、その状況は犯人自らが作り出したものではなかったんですよね?」
コトリに辛うじて食らいつく一里之。これは、あくまでも経験則だ。普段雪が降らない土地の人間であればあるほど、この可能性には辿り着けないかもしれない。逆に一里之のように雪国出身となれば、ピンと来るのかもしれない。
「えぇ、多分そうだと思いますわ。一里之君はもしかして――雪国の出身かしら?」
コトリの言葉に頷くと、一里之はホテルの出入り口が開かなかったであろう理由を口にする。
「そうです。雪国の建物は、雪に対しての耐性がつけられています。それでも、定期的に屋根の上にのぼって雪を降ろさないといけないんです。その大きな理由は、単純に屋根が潰れてしまうおそれがあるから。だから、ある程度屋根に雪が積もると、よく起きるんです」
これが密室の答え。多分、あのドアには鍵なんてかかっていなかったのだ。たまたまアルバイトの男が鍵を階段の辺りに落としてしまっただけのことで、鍵は開いていたと思われる。ただ――。
「家の中の扉が、屋根の雪の重さで開かなくなることが――。俺の家、たまたまそれがトイレの扉だったんで、いざ開かなくなると大変で」
雪の重みで扉が上から圧迫されていたがゆえに、扉は鍵がかかったかのごとく開かなかったのである。そして、入り口のガラスを割ったことにより圧が逃げ、扉は開くようになった――。実に単純ではあるが、これこそが密室の謎だと思われる。
「このホテルは屋根がありませんわ。だから、積もった雪の重みがダイレクトに下の方へと伝わる。そもそも積雪を想定していない造りだったろうし、ある程度積もってしまえばドアは開かなくなっていたでしょう」
コトリはそう言うと、大きく溜め息を漏らした。
「ここからは想像でしかないけれども、アルバイトの男性は首を吊った女性のお客だったのではないかしら? 最初から殺意があったわけではなく、この場所を選んだもの、単純に職場のそば――いいえ、ここ自体が職場だったからかもしれませんわね」
「でも――その雪が降ったせいで、密室という奇妙な状況が生まれてしまった。そして、その状況は犯人自らが作り出したものではなかったんですよね?」
コトリに辛うじて食らいつく一里之。これは、あくまでも経験則だ。普段雪が降らない土地の人間であればあるほど、この可能性には辿り着けないかもしれない。逆に一里之のように雪国出身となれば、ピンと来るのかもしれない。
「えぇ、多分そうだと思いますわ。一里之君はもしかして――雪国の出身かしら?」
コトリの言葉に頷くと、一里之はホテルの出入り口が開かなかったであろう理由を口にする。
「そうです。雪国の建物は、雪に対しての耐性がつけられています。それでも、定期的に屋根の上にのぼって雪を降ろさないといけないんです。その大きな理由は、単純に屋根が潰れてしまうおそれがあるから。だから、ある程度屋根に雪が積もると、よく起きるんです」
これが密室の答え。多分、あのドアには鍵なんてかかっていなかったのだ。たまたまアルバイトの男が鍵を階段の辺りに落としてしまっただけのことで、鍵は開いていたと思われる。ただ――。
「家の中の扉が、屋根の雪の重さで開かなくなることが――。俺の家、たまたまそれがトイレの扉だったんで、いざ開かなくなると大変で」
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「このホテルは屋根がありませんわ。だから、積もった雪の重みがダイレクトに下の方へと伝わる。そもそも積雪を想定していない造りだったろうし、ある程度積もってしまえばドアは開かなくなっていたでしょう」
コトリはそう言うと、大きく溜め息を漏らした。
「ここからは想像でしかないけれども、アルバイトの男性は首を吊った女性のお客だったのではないかしら? 最初から殺意があったわけではなく、この場所を選んだもの、単純に職場のそば――いいえ、ここ自体が職場だったからかもしれませんわね」
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