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第五章 時を越えた禁忌【現在 七色七奈】
第五章 時を越えた禁忌【現在 七色七奈】1
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【1】
編集ミスだろうか。画面が唐突に真っ暗になった。もし、ビデオテープの録画が終わっているのであれば、表示されるのは砂嵐のはずだ。しかしながら、薄暗い駐在所を照らすブラウン管には、ただただ真っ暗な画面が映っていた。
辺りはすっかりと暗くなってしまった。この辺りは都会と違い、夜の密度がまるで違う。どこに行っても明かりが灯っている都会には、闇が蔓延る隙間さえないが、この辺りは闇に包まれている。駐在所を意味する赤いランプが、闇夜に浮かんでいた。まるで、ここは暗闇に浮かび上がった孤島のようだ。少し前まで車中泊をしようとしていたのだからゾッとする。この闇の中、車の車内灯だけで一夜を過ごすなんて考えられない。
駐在所を就寝の場として貸してくれた大和田には感謝しかない。本人は、奥の家にと誘ってくれたのであるが、その辺りはさすがに断った。彼のことが信頼できないわけではないが、そこまで親しい間柄でもないのも事実だから。
まだ、真っ暗な画面が続いている。これでビデオテープが終わりなら、必ず次のビデオテープの予告が入っているはずだ。しかしながら、闇。映し出されるのは、外の闇に匹敵するほどの闇だけ。
「――調子はどうだい?」
急に奥のほうからぬっと人影が現れる。私は思わず声を上げて、その場で飛び上がった。風呂が空いたら呼びに来る――そう言って大和田が離れていたことを思い出した。
「あ、あぁ……赤松朱里の視点で少し話が進んだくらいかな。まだビデオテープの場所は分からない」
大和田はサンダルを履いて出てくると、私の前に缶ビールを置いた。大和田の片手には口をすでにつけたであろう缶ビール。
「いいんですか? 駐在さんがお酒なんて飲んで」
本当なら、お風呂上がりにいただきたいところであるが、積み重なった疲れと、慣れないことの連続で、少しだけ現実から逃避したいと思っていたのだろう。自然とプルタブを起こし、大和田に向かって缶ビールを掲げた。大和田は乾杯のポーズをすると、ビールを一気に飲み干す。
「さっきの情けないところを見られてしまっては、なんとも――。一応、規則上飲むのはよろしくないけど、こういうところは駐在なんていなくても、ある程度のことは解決してしまうから。あんなことがあった手前、駐在所の出番はまずないよ」
私は大和田にならって、缶を傾けた。独特の香りと一緒に、クリーム状になった泡が喉を通り過ぎる。思わず唸ってしまいそうになる。
編集ミスだろうか。画面が唐突に真っ暗になった。もし、ビデオテープの録画が終わっているのであれば、表示されるのは砂嵐のはずだ。しかしながら、薄暗い駐在所を照らすブラウン管には、ただただ真っ暗な画面が映っていた。
辺りはすっかりと暗くなってしまった。この辺りは都会と違い、夜の密度がまるで違う。どこに行っても明かりが灯っている都会には、闇が蔓延る隙間さえないが、この辺りは闇に包まれている。駐在所を意味する赤いランプが、闇夜に浮かんでいた。まるで、ここは暗闇に浮かび上がった孤島のようだ。少し前まで車中泊をしようとしていたのだからゾッとする。この闇の中、車の車内灯だけで一夜を過ごすなんて考えられない。
駐在所を就寝の場として貸してくれた大和田には感謝しかない。本人は、奥の家にと誘ってくれたのであるが、その辺りはさすがに断った。彼のことが信頼できないわけではないが、そこまで親しい間柄でもないのも事実だから。
まだ、真っ暗な画面が続いている。これでビデオテープが終わりなら、必ず次のビデオテープの予告が入っているはずだ。しかしながら、闇。映し出されるのは、外の闇に匹敵するほどの闇だけ。
「――調子はどうだい?」
急に奥のほうからぬっと人影が現れる。私は思わず声を上げて、その場で飛び上がった。風呂が空いたら呼びに来る――そう言って大和田が離れていたことを思い出した。
「あ、あぁ……赤松朱里の視点で少し話が進んだくらいかな。まだビデオテープの場所は分からない」
大和田はサンダルを履いて出てくると、私の前に缶ビールを置いた。大和田の片手には口をすでにつけたであろう缶ビール。
「いいんですか? 駐在さんがお酒なんて飲んで」
本当なら、お風呂上がりにいただきたいところであるが、積み重なった疲れと、慣れないことの連続で、少しだけ現実から逃避したいと思っていたのだろう。自然とプルタブを起こし、大和田に向かって缶ビールを掲げた。大和田は乾杯のポーズをすると、ビールを一気に飲み干す。
「さっきの情けないところを見られてしまっては、なんとも――。一応、規則上飲むのはよろしくないけど、こういうところは駐在なんていなくても、ある程度のことは解決してしまうから。あんなことがあった手前、駐在所の出番はまずないよ」
私は大和田にならって、缶を傾けた。独特の香りと一緒に、クリーム状になった泡が喉を通り過ぎる。思わず唸ってしまいそうになる。
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