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第三章 惨殺による惨殺【過去 高田富臣】
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いじめという構造は、実のところ単純だったりする。産まれた場所も違えば、育ててくれた人間も違う。育ってきた環境だってまるで異なるのだから、人間の合う合わないというのは必ず出てくる。
特に日本では、合わない人間がたまたま多かった人間こそが、いじめの対象となることが多いのであるが、ここで良くも悪くも日本の様式美が絡んでくる。
日本はとにもかくにも調和、周囲との協調性を重視したがる。これは、将来社会に出た時に、真面目で従順、そして組織のルールに従い、周囲と協調できる人間を育て上げる必要があるからだ。
その主たる場が学校なのである。お互いに合わない人間を、クラスというランダム要素の強い密室に放り込み、協調させようとするのだ。この時点で上手く行くなんてことは絶対にあり得ない。合わないものは合わないものとして引き離すのではなく、なんとか上手く協調できないものかと、無駄な労力を割く。
磁石のS極とN極をくっつけようとしたところで、そもそもの性質が異なるから、くっつくわけがない。たまたまそこにN極が多ければ、N極同士でくっつくだけだ。でも、日本ではS極とN極がくっつけるように努力しましょうと言い出す国なのだ。
解決法は簡単。S極とN極を引き離してしまえばいい。近くにいると反発し合うが、しかし離れてしまえば互いに反発し合うことはない。合う人間同士でコミニュティーを構築させればいいだけなのに、無理矢理S極をN極に変えようとするから、軋轢が生じてしまう。
全てが父からの受け売り。その受け売りは、残念ながら息子には伝わっていない。
まだまだ、父からの受け売りはあった。
合わない人間同士は近づかないほうがいい。お互いに無関係、無関心なのがベストな解決法だ。けれども、人間というものは愚かなものであり、わざわざ群れを作り、その合わない人間を排除しようとする習性がある。習性と揶揄したのは、もはや人間的行為ではなく、動物的行為だからだ。
嫌なら関わらなければいい。嫌いなら放っておけばいい。それなのに、わざわざ群れを作って、わざわざ嫌いな人間に近づいて、わざわざ攻撃をしたがるのだ。これはよく狩猟本能に例えられるらしい。
父の言葉は立派なのかもしれないが、まるで息子に反映されないから面白い。まぁ、その類の話――父に合わせているふりをしながら、聞き流すことがほとんどであるが。
特に日本では、合わない人間がたまたま多かった人間こそが、いじめの対象となることが多いのであるが、ここで良くも悪くも日本の様式美が絡んでくる。
日本はとにもかくにも調和、周囲との協調性を重視したがる。これは、将来社会に出た時に、真面目で従順、そして組織のルールに従い、周囲と協調できる人間を育て上げる必要があるからだ。
その主たる場が学校なのである。お互いに合わない人間を、クラスというランダム要素の強い密室に放り込み、協調させようとするのだ。この時点で上手く行くなんてことは絶対にあり得ない。合わないものは合わないものとして引き離すのではなく、なんとか上手く協調できないものかと、無駄な労力を割く。
磁石のS極とN極をくっつけようとしたところで、そもそもの性質が異なるから、くっつくわけがない。たまたまそこにN極が多ければ、N極同士でくっつくだけだ。でも、日本ではS極とN極がくっつけるように努力しましょうと言い出す国なのだ。
解決法は簡単。S極とN極を引き離してしまえばいい。近くにいると反発し合うが、しかし離れてしまえば互いに反発し合うことはない。合う人間同士でコミニュティーを構築させればいいだけなのに、無理矢理S極をN極に変えようとするから、軋轢が生じてしまう。
全てが父からの受け売り。その受け売りは、残念ながら息子には伝わっていない。
まだまだ、父からの受け売りはあった。
合わない人間同士は近づかないほうがいい。お互いに無関係、無関心なのがベストな解決法だ。けれども、人間というものは愚かなものであり、わざわざ群れを作り、その合わない人間を排除しようとする習性がある。習性と揶揄したのは、もはや人間的行為ではなく、動物的行為だからだ。
嫌なら関わらなければいい。嫌いなら放っておけばいい。それなのに、わざわざ群れを作って、わざわざ嫌いな人間に近づいて、わざわざ攻撃をしたがるのだ。これはよく狩猟本能に例えられるらしい。
父の言葉は立派なのかもしれないが、まるで息子に反映されないから面白い。まぁ、その類の話――父に合わせているふりをしながら、聞き流すことがほとんどであるが。
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