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第三章 惨殺による惨殺【過去 高田富臣】
第三章 惨殺による惨殺【過去 高田富臣】1
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【1】
ミノタウロスの森から少し離れたところに、農機具などを収納しておく農機小屋がある。畑のど真ん中に建っている小屋だが、当然ながら電気は通っておらず、中は真っ暗である。ただ、様々な農耕機を収納しているがゆえに広く、四人で隠れていても充分すぎるスペースがあった。
少しばかり心許ないが、明かりは蝋燭の明かりのみ。それでも、小屋の中央におけば、互いの顔が確認できる程度には明るい。
「おい、さっきの見たかよ。盛大にすっ転んだぞ。朱里のやつ」
さっきは笑うのを堪えることで必死だったが、赤松朱里がミノタウロスの森に入って行くのを確認した高田富臣は、ようやく笑いをこぼした。
この小屋は自分の家の持ち物であり、友達とよく隠れ家代わりに使っている。ちょっと背伸びをして、親父のウイスキーを盗んできては、この秘密基地で酒を飲むこともあった。まぁ、格好をつけてるだけで、あまり美味いとは思わないが。
「というか、そろそろ私達にハブられてんの気づけよ。気持ち悪いんだよ、あいつ」
そう言って笑みを浮かべたのは、おそらくクラスの女子グループの中でももっとも権力を有している依田由美香だった。長い髪を片方で結び、そのキツネのような細長い目は、どこか可愛らしいように見えなくもないが、しかしやはりキツめの印象がある。なによりも、実際に本人の性格がキツいというのもあった。
「頭の悪いプラス思考ほど面倒なのいないよね。ってか、一人でよくもミノタウロスの森に入れたもんだよ」
溜め息を漏らしたのは、小柄のせいで同い年には見えない細川茜だった。吹けば飛んでしまうほどの体型であり、痩せているというより、やや不健康にやつれているようにも見えることがある。由美香とは昔から仲が良い。
「はっきり言ってやれば? 私達はあなたが嫌いですってさ。お互い、受け付けないのであれば、互いに関わらないのが一番だ」
やっていることは自分達と同じくせに、どうにも正論というか、それらしいことを言うのは鏑木孝義だ。表向きは眼鏡の優等生であるが、裏ではこんな時間まで遊び歩く悪ガキだ。
高田、鏑木、由美香、茜はよく一緒に遊ぶグループのメンバーだ。そこに赤松朱里も加わっていたのであるが、次第に由美香と茜が彼女と距離を置き始めた。
――理由は分からないけど、なんかムカつく。
そんな理由で少しずつ赤松朱里がグループから避けられ始めた。しかし、当の本人はそんな空気を全く読まず、いつも通りに声をかけてくる。それがさらに由美香達の神経を逆撫でした。
ミノタウロスの森から少し離れたところに、農機具などを収納しておく農機小屋がある。畑のど真ん中に建っている小屋だが、当然ながら電気は通っておらず、中は真っ暗である。ただ、様々な農耕機を収納しているがゆえに広く、四人で隠れていても充分すぎるスペースがあった。
少しばかり心許ないが、明かりは蝋燭の明かりのみ。それでも、小屋の中央におけば、互いの顔が確認できる程度には明るい。
「おい、さっきの見たかよ。盛大にすっ転んだぞ。朱里のやつ」
さっきは笑うのを堪えることで必死だったが、赤松朱里がミノタウロスの森に入って行くのを確認した高田富臣は、ようやく笑いをこぼした。
この小屋は自分の家の持ち物であり、友達とよく隠れ家代わりに使っている。ちょっと背伸びをして、親父のウイスキーを盗んできては、この秘密基地で酒を飲むこともあった。まぁ、格好をつけてるだけで、あまり美味いとは思わないが。
「というか、そろそろ私達にハブられてんの気づけよ。気持ち悪いんだよ、あいつ」
そう言って笑みを浮かべたのは、おそらくクラスの女子グループの中でももっとも権力を有している依田由美香だった。長い髪を片方で結び、そのキツネのような細長い目は、どこか可愛らしいように見えなくもないが、しかしやはりキツめの印象がある。なによりも、実際に本人の性格がキツいというのもあった。
「頭の悪いプラス思考ほど面倒なのいないよね。ってか、一人でよくもミノタウロスの森に入れたもんだよ」
溜め息を漏らしたのは、小柄のせいで同い年には見えない細川茜だった。吹けば飛んでしまうほどの体型であり、痩せているというより、やや不健康にやつれているようにも見えることがある。由美香とは昔から仲が良い。
「はっきり言ってやれば? 私達はあなたが嫌いですってさ。お互い、受け付けないのであれば、互いに関わらないのが一番だ」
やっていることは自分達と同じくせに、どうにも正論というか、それらしいことを言うのは鏑木孝義だ。表向きは眼鏡の優等生であるが、裏ではこんな時間まで遊び歩く悪ガキだ。
高田、鏑木、由美香、茜はよく一緒に遊ぶグループのメンバーだ。そこに赤松朱里も加わっていたのであるが、次第に由美香と茜が彼女と距離を置き始めた。
――理由は分からないけど、なんかムカつく。
そんな理由で少しずつ赤松朱里がグループから避けられ始めた。しかし、当の本人はそんな空気を全く読まず、いつも通りに声をかけてくる。それがさらに由美香達の神経を逆撫でした。
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