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第二章 動き出す狂気【現在 七色七奈】
第二章 動き出す狂気【現在 七色七奈】1
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【1】
「――なに、これ」
砂嵐となった画面を眺めつつ、私が漏らした感想は、実に率直で正直なものだった。一緒に見ていた大和田も、その衝撃に首を傾げる。
「これ、途中から人が変わってるっていうか――まるで映画みたいな手法になってんな。怪我をした女の子の時は、女の子がビデオを撮影している形で映像が進むけど、次の2人組の時は俯瞰する形になってる」
私が抱いた違和感の正体を、代弁するかのごとく並べ立ててくれる大和田。私は、ずっと彼女視点――赤松朱里がカメラマンとなって映像が続いていくものだとばかり思っていた。しかし、途中からカップルらしきものを映しているカメラは俯瞰撮影されているのだ。
赤松朱里の時は、ビデオカメラがあることが前提で撮影されている。でも、後半の2人組の時は、カメラがあることが前提になっていない。つまり、後半のほうに関してはカメラマンが不明なのだ。
ドラマなどを見ていても、カメラマンの存在が気になる人なんていないだろう。例えるならば、赤松朱里の映像のほうは、赤松朱里がカメラマンであることを明かしていて、それが前提となっている。一方、後半のほうはドラマ仕立てというか、カメラマンの存在を一切匂わさない作りになっていた。
「それと、後半の映像は画面が固定されていましたよね? どこかにカメラを固定して撮影したみたいに」
私の言葉に大和田は頷く。
「あれだな。昔見た映画――ブレアウィッチだっけか? あれと同じ手法がとられているのが前半の映像。後半はごく一般的な映画みたいな形で撮影されてるんだな」
この映像の手法の違いに何か意味があるのだろうか。それにしても、後半のほうは中々にショッキングな内容だった。あのミノタウロスらしき存在は、一体何者なんだろう。
砂嵐が急に途切れる。そうだ――もしかすると、この後、どこに次のビデオテープが隠されているかを示唆するものが映るかもしれない。そんなことを考えながら画面を眺めていると、その前に妙なものが映った。
――出演 赤松朱里 宝田羽衣 谷惇。
一瞬、なんのことかと思ったが、すぐに理解した。これ――おそらく、これまでの映像で出てきた人達のことだ。赤松朱里は当たり前ながら、宝田羽衣と谷惇というのは……映像の後半に出てきたカップルのことなのだろうか。
「これ、もしかして作り物なんじゃねぇの? ほら、学校とかに映画研究会みたいなのあったろ? あれのノリで作られた映画だったりして」
大和田が言うそばで、映像がまたして切り替わる。
「――なに、これ」
砂嵐となった画面を眺めつつ、私が漏らした感想は、実に率直で正直なものだった。一緒に見ていた大和田も、その衝撃に首を傾げる。
「これ、途中から人が変わってるっていうか――まるで映画みたいな手法になってんな。怪我をした女の子の時は、女の子がビデオを撮影している形で映像が進むけど、次の2人組の時は俯瞰する形になってる」
私が抱いた違和感の正体を、代弁するかのごとく並べ立ててくれる大和田。私は、ずっと彼女視点――赤松朱里がカメラマンとなって映像が続いていくものだとばかり思っていた。しかし、途中からカップルらしきものを映しているカメラは俯瞰撮影されているのだ。
赤松朱里の時は、ビデオカメラがあることが前提で撮影されている。でも、後半の2人組の時は、カメラがあることが前提になっていない。つまり、後半のほうに関してはカメラマンが不明なのだ。
ドラマなどを見ていても、カメラマンの存在が気になる人なんていないだろう。例えるならば、赤松朱里の映像のほうは、赤松朱里がカメラマンであることを明かしていて、それが前提となっている。一方、後半のほうはドラマ仕立てというか、カメラマンの存在を一切匂わさない作りになっていた。
「それと、後半の映像は画面が固定されていましたよね? どこかにカメラを固定して撮影したみたいに」
私の言葉に大和田は頷く。
「あれだな。昔見た映画――ブレアウィッチだっけか? あれと同じ手法がとられているのが前半の映像。後半はごく一般的な映画みたいな形で撮影されてるんだな」
この映像の手法の違いに何か意味があるのだろうか。それにしても、後半のほうは中々にショッキングな内容だった。あのミノタウロスらしき存在は、一体何者なんだろう。
砂嵐が急に途切れる。そうだ――もしかすると、この後、どこに次のビデオテープが隠されているかを示唆するものが映るかもしれない。そんなことを考えながら画面を眺めていると、その前に妙なものが映った。
――出演 赤松朱里 宝田羽衣 谷惇。
一瞬、なんのことかと思ったが、すぐに理解した。これ――おそらく、これまでの映像で出てきた人達のことだ。赤松朱里は当たり前ながら、宝田羽衣と谷惇というのは……映像の後半に出てきたカップルのことなのだろうか。
「これ、もしかして作り物なんじゃねぇの? ほら、学校とかに映画研究会みたいなのあったろ? あれのノリで作られた映画だったりして」
大和田が言うそばで、映像がまたして切り替わる。
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