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第一章 好奇心の代償【過去 赤松朱里】
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思った通り、ハンディカムビデオカメラは、タンスの肥やしならぬ段ボールの肥やしになっていたらしい。埃まみれのハンディカムビデオカメラを取り出すと、簡単に埃を払う。ついでに、一緒に入っていた未開封のテープを数本持ち出した。まだ数本段ボールの中に未開封のテープが残ってはいるが、そこまで多くのテープは必要ないだろう。そこで段ボールを戻そうとして、充電器を取り出していないことに気づいた。いくらハンディカムビデオカメラを持って行っても、バッテリーがなければ話にならない。夜までに充電しておかなかれば。バッテリーがセットされたままの充電器を引っ張り出すと、元あった位置に段ボールを戻した。
自分の部屋へと戻ると、早速バッテリーの充電を始める。出発は夜であるし、それまでにはさすがに充電も終わるだろう。朱里は改めて荷物の確認作業へと戻った。
まだ中学3年生ということもあり、夜の外出にはさすがに親が口出ししてくると思われる。この辺りは事前に口裏を合わせて、少し季節の早い花火をするということになっている。明確な理由があれば、夜の外出くらい許してもらえるだろう。なんせ、もう15歳なのだから。
そこから朱里は、ごくごく当たり前の1日を過ごした。両親が帰ってくると、たった今起きたふりをして一緒に朝食を食べた。夜に外出する布石として、お昼まで、両親の農作業を手伝った。手伝ったといっても、父親の運転するトラクターに一緒に乗っていただけであり、体力は充分に温存できた。体力は可能な限り夜に残しておきたい。
お昼を食べに家へと帰ると、久方ぶりに昼寝をする。小さい頃は、この昼寝というのがどうにも苦手であり、もちろん現在にいたるまでも昼寝という習慣はない。これも夜に備えるためだった。
起きると再び荷物を確認する。バッテリーの充電は終わっており、これだけで充分であろうが、念のために、最初から充電器に刺さっていたバッテリーを外してハンディカムビデオカメラのバッテリーと入れ替える。ハンディカムビデオカメラから取り外したバッテリーは充電器へ。
朱里はそのままビデオの動作確認をする。どうやったら録画が始まるのか。最低限の操作を確認しておく必要があった。ハンディカムビデオカメラは、小さな液晶が内蔵されているタイプで、ファインダーを覗かなくとも、液晶画面を自分のほうに向けることで、撮影している画面を確認することができるタイプだ。
自分の部屋へと戻ると、早速バッテリーの充電を始める。出発は夜であるし、それまでにはさすがに充電も終わるだろう。朱里は改めて荷物の確認作業へと戻った。
まだ中学3年生ということもあり、夜の外出にはさすがに親が口出ししてくると思われる。この辺りは事前に口裏を合わせて、少し季節の早い花火をするということになっている。明確な理由があれば、夜の外出くらい許してもらえるだろう。なんせ、もう15歳なのだから。
そこから朱里は、ごくごく当たり前の1日を過ごした。両親が帰ってくると、たった今起きたふりをして一緒に朝食を食べた。夜に外出する布石として、お昼まで、両親の農作業を手伝った。手伝ったといっても、父親の運転するトラクターに一緒に乗っていただけであり、体力は充分に温存できた。体力は可能な限り夜に残しておきたい。
お昼を食べに家へと帰ると、久方ぶりに昼寝をする。小さい頃は、この昼寝というのがどうにも苦手であり、もちろん現在にいたるまでも昼寝という習慣はない。これも夜に備えるためだった。
起きると再び荷物を確認する。バッテリーの充電は終わっており、これだけで充分であろうが、念のために、最初から充電器に刺さっていたバッテリーを外してハンディカムビデオカメラのバッテリーと入れ替える。ハンディカムビデオカメラから取り外したバッテリーは充電器へ。
朱里はそのままビデオの動作確認をする。どうやったら録画が始まるのか。最低限の操作を確認しておく必要があった。ハンディカムビデオカメラは、小さな液晶が内蔵されているタイプで、ファインダーを覗かなくとも、液晶画面を自分のほうに向けることで、撮影している画面を確認することができるタイプだ。
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