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#2 ぼくとわたしと禁断の数字【プロローグ】

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 アベンジャーに与えられる【ナンバーキーパー】なる絶対的な役割。踏んでしまえば一発即死の【デスナンバー】を決定できるのは【ナンバーキーパー】のみであり、またそれを知るのも【ナンバーキーパー】だけ。ゲームの進行上、姫乙も【デスナンバー】を把握しているだろうが、実際にゲームを行う人間の中では、圧倒的に【ナンバーキーパー】ことアベンジャーにアドバンテージがある。

 安藤達がアベンジャーに抗う唯一の手段は【アントニオ】を成立させてゲームから抜けることのみだ。これは攻撃的な手段ではなく、あくまでも防衛的な手段となってしまうだろう。そもそも、このゲームにはという概念がない。ただただ【デスナンバー】を踏んだらという概念しかないのだ。ゆえに安藤達が勝つためにはゲームの外――【糾弾ホームルーム】にて、アベンジャーを制限時間内に糾弾するしかない。

「さてぇ、習うより慣れろ――案ずるより産むが易しと言いますぅ。ここからは実際にやってみたほうが良いでしょう。ただしぃ、いきなり個人戦では人数が多すぎですしぃ、この【不定数ナンバーコール】の駆け引きが分からないでしょうからぁ、最初はチーム戦としますかねぇ。まぁ、あらかじめアベンジャーと話し合って決めていたことなのですがぁ」

 ルールはある程度頭の中に叩き込んだが、いざ実戦となると、やはり身構えてしまう。この【不定数ナンバーコール】というゲームの本質は、果たしてどこにあるのか。どのような駆け引きが繰り広げられることになるのか。それは――実際にやってみなければ分からない。

「チームは3チームに分けますぅ。全部で17人ですからぁ、6人、6人、5人で分けまぁぁす。正直、人数はそこまで関係ありません。相談する相手が1人少ないだけですからぁ。その辺りの割り振りは考慮しますしぃ、細けぇことは気にするだけ無駄ですぅ。それではぁ、チームごとに名前を呼びますのでぇ、なんか上手い具合にぃ、チームごとに集まってくださぁぁい」

 姫乙の独壇場かつ、彼のペースで話は進められていく。安藤達は処刑を待つ罪人のごとく、着々と処刑の準備が進むのを眺めることしかできない。

 姫乙は名簿らしきものを取り出すと、チーム分けを始めた。世界は彼のために回っている。教室限定ではあるが、この小さな世界は彼の思うがままなのだ。その小さな世界に束縛された安藤達は、されるがまま――理不尽なことに異議を唱えることすら許されないのだ。
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