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#1 毒殺における最低限の憶測【糾弾ホームルーム篇】
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人間、知らないほうが良いことだってある。それが例え真実であったとしても、知らないほうが良いことは間違いなくあるのだ。だから、それをわざわざ友華に伝える必要はなかったはずだ。傷口に塩を塗りこむような真似はしなくても良い。
「酷いよ……。酷いよ、酷いよ、酷いよ、酷いよ、酷いよ、ゴッちゃん!」
まだ涙は枯れ果てない。喜怒哀楽のうちの哀にまみれてしまった友華は、そこに怒の感情も加えて、姿の見えぬ幼馴染に訴えかける。彼女が喜と楽を取り戻すのは、いつになることだろうか。ある意味、彼女も殺害されてしまったようなものだった。心の殺害だ。
芽衣は無表情のまま、じっと前を見据えていた。口を開く様子もない。ならば、ここからは安藤なりの見解を披露すべきであろう。それで少しでも友華が救われるのであれば、それに越したことはない。
「――違うよ! そうじゃないっ!」
安藤が口を開こうとしたタイミングと、教室にその声が響き渡ったのは、ほぼ同時だった。みんなが辺りを見回す。きっと安藤と同じように、声の出どころが分からなかったからであろう。
「今の声――もしや」
いまだにチョークを握ったままの根津が視線を宙に投げると、今にも裏返りそうな、しかし真剣な声が再び教室内に響いた。今度ばかりは意識して見ていたから間違いない。その声は――管理委員会の兵隊が発していたものだった。
「ぼ、僕はそんなことしないよ! トモちゃんを悪者にするなんてこと、絶対にしない!」
姫乙が勢い良く立ち上がり、そして手を一度だけ大きく叩いた。それに対して、声を上げた兵隊は体をびくりと震わせた。
「――いやぁ、興醒めというやつですかぁ。きっと、これをご覧になっている全国の方々も、固唾を飲んで見守っていたことでしょう。果たして犯人は誰なのか。芽衣ちゃんと昼安藤君の推理は当たっているのか。そして、クラスメイトは2人のことを信じ、それを答えとするのか……。ここからがクライマックスなのにぃ、喋ってしまうとか。あれだ、昔やっていた教育テレビ番組のノッポさんが最終回に喋った以来の衝撃ですよぉ。これじゃぁ、答えが丸分かりじゃないですかぁ」
姫乙の視線は、声を上げた兵隊に向けられていた。それを尻目に、芽衣が教壇上の友華に向かって頭を下げる。
「ごめんなさい――。確実にみんなに納得してもらうためには、こうするのが一番だと思ったの」
「酷いよ……。酷いよ、酷いよ、酷いよ、酷いよ、酷いよ、ゴッちゃん!」
まだ涙は枯れ果てない。喜怒哀楽のうちの哀にまみれてしまった友華は、そこに怒の感情も加えて、姿の見えぬ幼馴染に訴えかける。彼女が喜と楽を取り戻すのは、いつになることだろうか。ある意味、彼女も殺害されてしまったようなものだった。心の殺害だ。
芽衣は無表情のまま、じっと前を見据えていた。口を開く様子もない。ならば、ここからは安藤なりの見解を披露すべきであろう。それで少しでも友華が救われるのであれば、それに越したことはない。
「――違うよ! そうじゃないっ!」
安藤が口を開こうとしたタイミングと、教室にその声が響き渡ったのは、ほぼ同時だった。みんなが辺りを見回す。きっと安藤と同じように、声の出どころが分からなかったからであろう。
「今の声――もしや」
いまだにチョークを握ったままの根津が視線を宙に投げると、今にも裏返りそうな、しかし真剣な声が再び教室内に響いた。今度ばかりは意識して見ていたから間違いない。その声は――管理委員会の兵隊が発していたものだった。
「ぼ、僕はそんなことしないよ! トモちゃんを悪者にするなんてこと、絶対にしない!」
姫乙が勢い良く立ち上がり、そして手を一度だけ大きく叩いた。それに対して、声を上げた兵隊は体をびくりと震わせた。
「――いやぁ、興醒めというやつですかぁ。きっと、これをご覧になっている全国の方々も、固唾を飲んで見守っていたことでしょう。果たして犯人は誰なのか。芽衣ちゃんと昼安藤君の推理は当たっているのか。そして、クラスメイトは2人のことを信じ、それを答えとするのか……。ここからがクライマックスなのにぃ、喋ってしまうとか。あれだ、昔やっていた教育テレビ番組のノッポさんが最終回に喋った以来の衝撃ですよぉ。これじゃぁ、答えが丸分かりじゃないですかぁ」
姫乙の視線は、声を上げた兵隊に向けられていた。それを尻目に、芽衣が教壇上の友華に向かって頭を下げる。
「ごめんなさい――。確実にみんなに納得してもらうためには、こうするのが一番だと思ったの」
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