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#1 毒殺における最低限の憶測【糾弾ホームルーム篇】
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姫乙が道場を訪れた際、本田の一言があったおかげで、誰も反応を示さなかった。それゆえに、見た目だけで寝付けない生徒がいるなどと判断できるわけがない。では、どうして姫乙はそのようなことを感じたのか。
「でも、姫乙は寝付けなかった人がいることを知っていた。その理由は簡単。あの時、一発で寝ていないと分かる人間がいたからだ。――管理委員会の兵隊が道場の中で突っ立っていたら、さすがに寝ているとは思わないでしょう?」
姫乙は安藤達のことを見て、寝付けなかった者がいたと思ったわけではない。兵隊に扮装した郷野が、そこに突っ立っていたからこそ、寝付けない人間がいると考えたのである。
「そもそも、管理委員会の兵隊が道場の中にいるというのも妙な話だと思う。女子のほうは、就寝場所となった体育館の中に兵隊は配置されなかったみたいだし――。この理由も考えてみれば簡単。道場の中にいた兵隊は、道場の中にいなければならなかったんだ。なぜなら、夜間は道場から出てはいけないというルールがあったからです」
安藤の言葉を要約して、黒板に文字を書き殴る。あまりにも字が大きいせいか、もう黒板が埋まってしまっていた。ふとチョークを握る手を止めた根津が、宙に視線を投げながら口を開く。
「今思い出したが、食事として支給されたパンにも余りがあるとのことだったなぁ。あれも、兵隊に扮していた郷野の分だったということか」
やや話が逆戻りしてしまったが、カーストの上位者が納得し、そして賛同してくれるのはありがたい。安藤は迎合の意味も込めて大きく頷いた。
「ちなみに補足になるけど、姫乙と兵隊がツーショットで写っている写真。これも道場の中で撮影されているんだ。この写真――きっと、この兵隊が道場から外に出ることができないことを示唆するために撮影されたんだと思う」
夜間は道場の外に出てはならない。これは事前に姫乙から通達されていたルールだった。それは郷野にも適用され、それを示唆するために、わざわざ姫乙はツーショット写真を撮ったのではないか。ホームルームがアンフェアにならないように調整するかのごとく。
「私はぁ、単純にあそこで記念撮影をしただけなんですけどねぇ。あぁ、ちなみにぃ、残り時間は15分となりましたぁ。15分後にはぁ、しっかりと答えを出してもらうことになりまぁぁす」
体感的にはそこまで経過したように思えないのだが、残り時間は少ないらしい。残された時間でひとつの結論を導き出さねばならない。急がねば。
「でも、姫乙は寝付けなかった人がいることを知っていた。その理由は簡単。あの時、一発で寝ていないと分かる人間がいたからだ。――管理委員会の兵隊が道場の中で突っ立っていたら、さすがに寝ているとは思わないでしょう?」
姫乙は安藤達のことを見て、寝付けなかった者がいたと思ったわけではない。兵隊に扮装した郷野が、そこに突っ立っていたからこそ、寝付けない人間がいると考えたのである。
「そもそも、管理委員会の兵隊が道場の中にいるというのも妙な話だと思う。女子のほうは、就寝場所となった体育館の中に兵隊は配置されなかったみたいだし――。この理由も考えてみれば簡単。道場の中にいた兵隊は、道場の中にいなければならなかったんだ。なぜなら、夜間は道場から出てはいけないというルールがあったからです」
安藤の言葉を要約して、黒板に文字を書き殴る。あまりにも字が大きいせいか、もう黒板が埋まってしまっていた。ふとチョークを握る手を止めた根津が、宙に視線を投げながら口を開く。
「今思い出したが、食事として支給されたパンにも余りがあるとのことだったなぁ。あれも、兵隊に扮していた郷野の分だったということか」
やや話が逆戻りしてしまったが、カーストの上位者が納得し、そして賛同してくれるのはありがたい。安藤は迎合の意味も込めて大きく頷いた。
「ちなみに補足になるけど、姫乙と兵隊がツーショットで写っている写真。これも道場の中で撮影されているんだ。この写真――きっと、この兵隊が道場から外に出ることができないことを示唆するために撮影されたんだと思う」
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「私はぁ、単純にあそこで記念撮影をしただけなんですけどねぇ。あぁ、ちなみにぃ、残り時間は15分となりましたぁ。15分後にはぁ、しっかりと答えを出してもらうことになりまぁぁす」
体感的にはそこまで経過したように思えないのだが、残り時間は少ないらしい。残された時間でひとつの結論を導き出さねばならない。急がねば。
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