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それぞれの週末【終】

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 会費を支払い、そして一同は会場入りする。そこは思った通りこじんまりとしていながら、部屋の大半を占有している大きなテーブルの上には、様々な料理が並んでいた。もちろん、酒の類も豊富に用意されているようだ。

 会場の中に入ると【2年4組同窓会】という横断幕が目に入った。わざわざ芽衣が用意してくれたのであろうか。

 ――そして安藤は再会する。あの時よりさらに大人びた様子の芽衣と。

 余興の準備をしていたのか、会場の端っこのほうで何やら準備をしていた彼女が振り返る。思わずどきりとした。

 何年ぶりの再会になるだろうか。当初は卒業してからも、みんなと密に連絡を取り合っていた。しかしながら、環境が変わるにつれ、生活スタイルが変わるにつれ、次第に連絡を取り合う頻度も減っていった。連絡が完全に途絶えることはなかったが、時の流れと環境の変化は、2年4組の絆を薄いものにしてしまっていたのだろう。

 安藤はそれで良かったと思っていた。そうすれば前に進むことができるから。芽衣のことを忘れて次に進むことができるから。でも、改めて彼女との再会を果たしたことで、無理矢理違う環境に身を置き、無理矢理に地元から離れ、自ら疎遠になろうとした自分に気づいた。

「おー、進藤も進藤で良い感じだけどよ、大槻も大槻で良い感じに変わったんじゃねぇの?」

 坂崎が嬉しそうな口調で言う。元より大人びた雰囲気だったが、それがさらに洗練されたというべきか。自然と他人を寄せ付けようとしない空気は相変わらずだった。

「――久しぶりね。みんな」

 その髪の毛に手ぐしを通す姿は、あの頃と全く変わっていなかった。本田がテーブルに並ぶと料理のほうへと自然を移しながら口を開く。

「これで全員が揃ったって感じだな。当たり前だけど少ねぇなぁ」

 安藤、本田、小宮山、坂崎。男子総勢で四名。小雪、芽衣、香純、舞、真綾。女子総勢で五名。2年4組、計九名の同窓会。みんな大人になり、それぞれの生活環境も変わったというのに、誰一人として欠けることなく出席というのは凄いのではないだろうか。いいや、これだけ少ない人数だからこそーー共に困難を乗り越えてきた仲間達だからこそ、義務感や建前ではなく、本音で同窓会に出席したいと思えたのではないだろうか。

「少し早いけど始めましょうか――」

 自ら幹事を買って出た芽衣が、相変わらずの仕草をしながら会場の外に出る。しばらくすると、ホテル側のスタッフと共に戻ってくる。
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