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#4 放課後殺人ショー【糾弾ホームルーム篇】
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「安藤君の言う通り。典型的なマジックのトリックを応用させてもらったのよ」
芽衣の言葉に安堵感を覚える。彼女と真っ向からやり合わねばならないと思っていたから――ようやく、同じ方向へと向かえることに、少しの恥ずかしさと嬉しさのようなものがあった。
「みんな、消える貯金箱って知ってるかしら? 正方形の箱の中にお金を入れると、中に入れたはずのお金が消えてしまう――そんな玩具のことよ」
安藤がこのトリックに気づけたのは、確か小学校の高学年の頃だかに、同じようなものを夏休みの工作として作ったことがあったからだ。
原理は至ってシンプルだ。まず、覗き窓のついた箱を用意する。そして、お金の投入口を作る。大事なのは、お金の投入口は、必ず覗き窓がある面に対して側面であること。投入口を作ったら、箱の面と同じサイズの鏡を、覗き窓に対して下側を向く形で斜めに設置する。実際に覗き窓から見ると、鏡が箱の中を写すため、まるでそこに鏡がないかのように見える。これがトリックの肝であり、投入口からお金を入れると、お金は鏡の後ろに落ち、覗き窓から見ても確認することはできない。あくまでも、覗き窓から見えるのは、鏡が対角に写し出している鏡像に過ぎないのだから。
「覗き窓から見えるのは、斜めに差し込まれた鏡が見せている鏡像――って仕組みだよね?」
安藤はここぞとばかりに芽衣に加勢をする。鏡のかげに消しゴムが隠れたように、お金が鏡のかげに隠れてしまう。しかし、鏡像が箱の対角を対称的に写し出すため、お金が消えてしまったように見えてしまうのだ。
「そう。それと似たようなことを――それこそ安藤君の言った通りの方法でやったのよ。まず、ごくごく普通の机を用意する。そして、机の下にぎりぎり入る鏡を二枚用意するわ。それをカメラに向かって【V】字のようにする」
イメージするのは視聴覚室の前から中を見た時の映像。机が置かれており、そして机の下に【V】の時になるように二枚の鏡を並べる。この時点で、鏡に写っているのは机の向こう側の壁ではなく左右の壁である。ただし、左右の壁の鏡像が、まるで机の向こう側の壁を写しているようになっているため、そこに鏡などないように見えるのだ。もちろん、鏡のかげに何かが隠れていても見えないわけだ。
「越井さんにはあらかじめ首元にメイクを施してもらって、机と机の下に【V】字に置いた鏡の向こう側に座ってもらう。そして、首から上だけを出してもらうの。こうすることで、遠近法と鏡のせいで、まるで越井さんの生首が机の上に置いてあるように見えるのよ――」
芽衣の言葉に安堵感を覚える。彼女と真っ向からやり合わねばならないと思っていたから――ようやく、同じ方向へと向かえることに、少しの恥ずかしさと嬉しさのようなものがあった。
「みんな、消える貯金箱って知ってるかしら? 正方形の箱の中にお金を入れると、中に入れたはずのお金が消えてしまう――そんな玩具のことよ」
安藤がこのトリックに気づけたのは、確か小学校の高学年の頃だかに、同じようなものを夏休みの工作として作ったことがあったからだ。
原理は至ってシンプルだ。まず、覗き窓のついた箱を用意する。そして、お金の投入口を作る。大事なのは、お金の投入口は、必ず覗き窓がある面に対して側面であること。投入口を作ったら、箱の面と同じサイズの鏡を、覗き窓に対して下側を向く形で斜めに設置する。実際に覗き窓から見ると、鏡が箱の中を写すため、まるでそこに鏡がないかのように見える。これがトリックの肝であり、投入口からお金を入れると、お金は鏡の後ろに落ち、覗き窓から見ても確認することはできない。あくまでも、覗き窓から見えるのは、鏡が対角に写し出している鏡像に過ぎないのだから。
「覗き窓から見えるのは、斜めに差し込まれた鏡が見せている鏡像――って仕組みだよね?」
安藤はここぞとばかりに芽衣に加勢をする。鏡のかげに消しゴムが隠れたように、お金が鏡のかげに隠れてしまう。しかし、鏡像が箱の対角を対称的に写し出すため、お金が消えてしまったように見えてしまうのだ。
「そう。それと似たようなことを――それこそ安藤君の言った通りの方法でやったのよ。まず、ごくごく普通の机を用意する。そして、机の下にぎりぎり入る鏡を二枚用意するわ。それをカメラに向かって【V】字のようにする」
イメージするのは視聴覚室の前から中を見た時の映像。机が置かれており、そして机の下に【V】の時になるように二枚の鏡を並べる。この時点で、鏡に写っているのは机の向こう側の壁ではなく左右の壁である。ただし、左右の壁の鏡像が、まるで机の向こう側の壁を写しているようになっているため、そこに鏡などないように見えるのだ。もちろん、鏡のかげに何かが隠れていても見えないわけだ。
「越井さんにはあらかじめ首元にメイクを施してもらって、机と机の下に【V】字に置いた鏡の向こう側に座ってもらう。そして、首から上だけを出してもらうの。こうすることで、遠近法と鏡のせいで、まるで越井さんの生首が机の上に置いてあるように見えるのよ――」
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