434 / 468
#4 放課後殺人ショー【糾弾ホームルーム篇】
28
しおりを挟む
「今、流れているのは事前に撮影した映像。さすがにカメラだけでふたつの映像を繋げることはできねぇだろうし、仮にできたとしても不自然さが残る。だから、リピートで流すには、中途半端に尻切れになった映像を使うしかなかった――ってことか」
安藤の言葉に納得したかのように何度か頷く本田。
「そうなんだ。そして、リピートされた映像が中途半端なところで終わっていることこそ、僕が録画の映像を疑ったきっかけでもあるんだ」
映像があらかじめ撮影されたものだということは立証できた。これで一歩追い詰めたことになるだろう。着実に真相に近づいており、安藤はその歩みを止めない。確かめるように、噛みしめるかのごとく、一歩、また一歩と前へ進む。
「安藤君。それだけで映像があらかじめ撮影されていたものだと証明できたと思う? もしかすると必要がないと思って流していないのかもしれないし、たまたまそこから先の映像が残っていないだけなのかもしれない。とにかく忘れないで欲しいのは、国営テレビのカメラは調子が悪かったってこと。申し訳ないけど断定する材料としては弱いわね」
芽衣が口を開き、そして安藤はかすかな笑みをたずさえる。その進む先になにが待っているのか。ここまできたら確かめないと気が済まない。芽衣がその気ならば、とことん付き合ってやろうではないか。
「――わざわざ出す必要はないと思ったけど、そこまで言うなら仕方がないね。映像が生放送に見せかけた録画であることを指し示す決定的な証拠を見せるよ」
安藤はそう言いながらテレビを指差す。これほど決定的な証拠はないだろうし、むしろどうして見落としたのかと疑問に思う。ただ、たどり着くであろう着地点のことを考えれば、その意図も見えてくる。
「注目して欲しいのはテロップだ。これはあくまでも、撮影した映像をリピートで流しているだけのはず。だとすれば――さすがに【LIVE】というテロップが出ているのはおかしいと思わない? そういうのって、例え生放送だったとしても、テレビ局側のほうで編集して差し込むものだと思うんだ。どれだけ高性能なカメラであったとしても、テロップまで差し込めるとは考えられない」
安藤が着目したのはテロップだった。いわゆる見え方の違いだ。確かに一度放送された映像を録画したものであれば、テロップは残っていて当然だ。しかしながら、画面に流れているのは本来ならば生放送で流したはずの映像。それを安藤達はテレビ局を介さずにダイレクトに見ているわけだから、リピートされている映像に【LIVE】などというテロップが入っていてはならないのだ。むしろ、テロップが入っているということは、あらかじめ映像が撮影され、編集されていたことを示す証拠となる。
安藤の言葉に納得したかのように何度か頷く本田。
「そうなんだ。そして、リピートされた映像が中途半端なところで終わっていることこそ、僕が録画の映像を疑ったきっかけでもあるんだ」
映像があらかじめ撮影されたものだということは立証できた。これで一歩追い詰めたことになるだろう。着実に真相に近づいており、安藤はその歩みを止めない。確かめるように、噛みしめるかのごとく、一歩、また一歩と前へ進む。
「安藤君。それだけで映像があらかじめ撮影されていたものだと証明できたと思う? もしかすると必要がないと思って流していないのかもしれないし、たまたまそこから先の映像が残っていないだけなのかもしれない。とにかく忘れないで欲しいのは、国営テレビのカメラは調子が悪かったってこと。申し訳ないけど断定する材料としては弱いわね」
芽衣が口を開き、そして安藤はかすかな笑みをたずさえる。その進む先になにが待っているのか。ここまできたら確かめないと気が済まない。芽衣がその気ならば、とことん付き合ってやろうではないか。
「――わざわざ出す必要はないと思ったけど、そこまで言うなら仕方がないね。映像が生放送に見せかけた録画であることを指し示す決定的な証拠を見せるよ」
安藤はそう言いながらテレビを指差す。これほど決定的な証拠はないだろうし、むしろどうして見落としたのかと疑問に思う。ただ、たどり着くであろう着地点のことを考えれば、その意図も見えてくる。
「注目して欲しいのはテロップだ。これはあくまでも、撮影した映像をリピートで流しているだけのはず。だとすれば――さすがに【LIVE】というテロップが出ているのはおかしいと思わない? そういうのって、例え生放送だったとしても、テレビ局側のほうで編集して差し込むものだと思うんだ。どれだけ高性能なカメラであったとしても、テロップまで差し込めるとは考えられない」
安藤が着目したのはテロップだった。いわゆる見え方の違いだ。確かに一度放送された映像を録画したものであれば、テロップは残っていて当然だ。しかしながら、画面に流れているのは本来ならば生放送で流したはずの映像。それを安藤達はテレビ局を介さずにダイレクトに見ているわけだから、リピートされている映像に【LIVE】などというテロップが入っていてはならないのだ。むしろ、テロップが入っているということは、あらかじめ映像が撮影され、編集されていたことを示す証拠となる。
0
お気に入りに追加
84
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
夫の書斎から渡されなかった恋文を見つけた話
束原ミヤコ
恋愛
フリージアはある日、夫であるエルバ公爵クライヴの書斎の机から、渡されなかった恋文を見つけた。
クライヴには想い人がいるという噂があった。
それは、隣国に嫁いだ姫サフィアである。
晩餐会で親し気に話す二人の様子を見たフリージアは、妻でいることが耐えられなくなり離縁してもらうことを決めるが――。
完結【第7回ホラー・ミステリー小説大賞サスペンス応募作】宝石の行方
Mr.後困る
ミステリー
ルイ王国のラズ公爵家の令嬢リーゼはルイ王国王太子のマーカスと婚約破棄を行った。
マーカスの不貞が原因でリーゼの長年の妃教育を加味した慰謝料は
広大な領地、 莫大な賠償金、 リーゼの隣国マーズ王国の王子との婚姻許可と多岐に渡った。
リーゼは王都のタウンハウスを引き払っている時
新しい婚約者であるマーズ王国王子のメイズがやって来た。
『マーカスが腹いせで嫌がらせに来るだろう』
そう判断したメイズは多くの護衛を引き連れて来た。
案の定、 マーカスが兵を引き連れてやって来た、 何故か顔を包帯で隠して。
そして嫌がらせに来たのではなく、 シー子爵令嬢の誘拐犯としての逮捕だった。
探偵内海は宝船を仕舞いこむ
八木山
ミステリー
▼登場人物
内海:
元警官の探偵。立ち位置は右。
「なんぼあってもいい」ものをポケットに入れて依頼を引き受ける。
駒場:
敏腕マッチョ刑事。立ち位置は左。
本来なら事件の真相にたどり着いているはずだが、情報を整理できないせいで迷宮入りになりかける。
ヨシノ:
IQは200を超え、この世の全ての答えを知る男。
※品田遊先生の方が百倍面白いものを書いてます
【完結】深海の歌声に誘われて
赤木さなぎ
ミステリー
突如流れ着いたおかしな風習の残る海辺の村を舞台とした、ホラー×ミステリー×和風世界観!
ちょっと不思議で悲しくも神秘的な雰囲気をお楽しみください。
海からは美しい歌声が聞こえて来る。
男の意志に反して、足は海の方へと一歩、また一歩と進んで行く。
その歌声に誘われて、夜の冷たい海の底へと沈んで行く。
そして、彼女に出会った。
「あなたの願いを、叶えてあげます」
深海で出会った歌姫。
おかしな風習の残る海辺の村。
村に根付く“ヨコシマ様”という神への信仰。
点と点が線で繋がり、線と線が交差し、そして謎が紐解かれて行く。
―― ―― ―― ―― ―― ―― ――
短期集中掲載。毎日投稿します。
完結まで執筆済み。約十万文字程度。
人によっては苦手と感じる表現が出て来るかもしれません。ご注意ください。
暗い雰囲気、センシティブ、重い設定など。
【か】【き】【つ】【ば】【た】
ふるは ゆう
ミステリー
姉の結婚式のために帰郷したアオイは久しぶりに地元の友人たちと顔を合わせた。仲間たちのそれぞれの苦痛と現実に向き合ううちに思いがけない真実が浮かび上がってくる。恋愛ミステリー
パンアメリカン航空-914便
天の川銀河
ミステリー
ご搭乗有難うございます。こちらは機長です。
ニューヨーク発、マイアミ行。
所要時間は・・・
37年を予定しております。
世界を震撼させた、衝撃の実話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる