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#4 放課後殺人ショー【糾弾ホームルーム篇】
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それはまぎれもない事実。芽衣の自宅に呼ばれた本田と安藤は、坂崎が鑑識官として学校に関与していることを知り、その流れで芽衣がアンジョリーヌへとコンタクトを取りたがっていることを知った。そして、アンジョリーヌ本人と会い、そこで同盟が結ばれたのである。ただし、安藤が知っているのはそこまでであり、具体的にどんな形で、アンジョリーヌ達が芽衣に力を貸すのかは知らされていなかったが。
「――交渉の結果、アンジョリーヌさんは僕達に力を貸してくれる手筈になった。もし、アンジョリーヌさん達が力を貸してくれなかったら、今回の事件は起きなかったかもしれない。なぜなら、アンジョリーヌさん達の協力があったからこそ、犯人はアリバイを確保できたんだから」
安藤がそこでひと息を置くと、そのタイミングを待っていたかと言わんばかりに真綾が手を挙げる。
「でもさぁ、事件が起きた時、大槻はテレビにもはっきり映ってたんだよ? 仮に何らかの形で力を借りたとしても、テレビに映っている以上、アリバイは完璧じゃね?」
クラスで随一の頭の悪さを誇る真綾も、回数を重ねるごとにまともな発言をするようになったものだ。彼女本人の力ではなくとも、何度も【糾弾ホームルーム】を突破してきたことが自信に繋がっているのだろう。
「うん、確かに大槻さんは、教室を出てから現場で遺体を発見するまでの間、ずっとカメラに映ってたよね。だから、越井さんを殺害するチャンスもなかった。アリバイも完璧だ。でも、それはあくまでも画面の中の大槻さんに限られるんだよ」
なにがなんだか分からない――。そんな空気が漂い、代表して小宮山が遠慮がちに手を挙げる。
「そ、それはどういうことだい?」
安藤は延々とリピートされる映像に視線をやりながら、決定的となる一言を放つ。これだけではまだ伝わらないかもしれないが、決定的なことだけは間違いなかった。
「テレビには大槻さんの姿が映っている。でも、実際の大槻さんはこうして教室で僕達と一緒に【糾弾ホームルーム】に参加している。つまり、あの時もこれと同じことが起きていただけなんだよ」
安藤の言葉に小雪がくすりと笑う。それはどこか、周囲を小馬鹿にしたような笑い方のように見えた。
「全視聴者を巻き込んだ、壮大なドッキリだった――ってことね」
言い得て妙な小雪の例え方に、思わず感心して頷いてしまう。そう――これはある意味思い込み。思い込みを利用したアリバイトリックなのだ。
「まぁ、そうとも言えるかな。テレビで流れている放送が生放送なのか、それとも録画された映像なのか、視聴者に見分けることはできないだろうからね」
「――交渉の結果、アンジョリーヌさんは僕達に力を貸してくれる手筈になった。もし、アンジョリーヌさん達が力を貸してくれなかったら、今回の事件は起きなかったかもしれない。なぜなら、アンジョリーヌさん達の協力があったからこそ、犯人はアリバイを確保できたんだから」
安藤がそこでひと息を置くと、そのタイミングを待っていたかと言わんばかりに真綾が手を挙げる。
「でもさぁ、事件が起きた時、大槻はテレビにもはっきり映ってたんだよ? 仮に何らかの形で力を借りたとしても、テレビに映っている以上、アリバイは完璧じゃね?」
クラスで随一の頭の悪さを誇る真綾も、回数を重ねるごとにまともな発言をするようになったものだ。彼女本人の力ではなくとも、何度も【糾弾ホームルーム】を突破してきたことが自信に繋がっているのだろう。
「うん、確かに大槻さんは、教室を出てから現場で遺体を発見するまでの間、ずっとカメラに映ってたよね。だから、越井さんを殺害するチャンスもなかった。アリバイも完璧だ。でも、それはあくまでも画面の中の大槻さんに限られるんだよ」
なにがなんだか分からない――。そんな空気が漂い、代表して小宮山が遠慮がちに手を挙げる。
「そ、それはどういうことだい?」
安藤は延々とリピートされる映像に視線をやりながら、決定的となる一言を放つ。これだけではまだ伝わらないかもしれないが、決定的なことだけは間違いなかった。
「テレビには大槻さんの姿が映っている。でも、実際の大槻さんはこうして教室で僕達と一緒に【糾弾ホームルーム】に参加している。つまり、あの時もこれと同じことが起きていただけなんだよ」
安藤の言葉に小雪がくすりと笑う。それはどこか、周囲を小馬鹿にしたような笑い方のように見えた。
「全視聴者を巻き込んだ、壮大なドッキリだった――ってことね」
言い得て妙な小雪の例え方に、思わず感心して頷いてしまう。そう――これはある意味思い込み。思い込みを利用したアリバイトリックなのだ。
「まぁ、そうとも言えるかな。テレビで流れている放送が生放送なのか、それとも録画された映像なのか、視聴者に見分けることはできないだろうからね」
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