糾弾ホームルーム！ ―ぼくたち、わたしたちの主張―

＃4 放課後殺人ショー【糾弾ホームルーム篇】

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　音声の人と照明の人が、それぞれの仕事道具をロッカーに立てかける。その代わりに調子が悪くなったカメラを持って、教室を出て行く。アンジョリーヌを映していたカメラもその光景を追いかけていた。わざわざカメラそのものを持って行かずとも、テープだけ持って行けばいいのでは――と、なんとなく疑問に思っていた安藤だったが、カメラが向けられていたことで気づいた。恐らく、視聴者に対して分かりやすくするように、カメラごと持って行ったのであろう。こんな時に観せ方にまで気を遣える辺り、さすがは国営テレビといったところか。求人倍率が高いのも頷ける。

「ただいま、ご覧になられた通り、当スタッフが放送室のほうへと向かった模様です。何も問題がなければ、十数分で教室のテレビに映像を出力できると思われます。今は待ちましょう」

　照明と音声を失ってしまったアンジョリーヌは、果たしてどんな感じにテレビに映っているのだろうか。ちょっとばかり見てみたいような気がした。

　待つことしばらく。アンジョリーヌは十数分とは言ったが、しかし思ったより早かったような気がする。委員長の小宮山がテレビをあらかじめ点けていたこともあり、画面が映ったのが唐突だったように見えた。

「どうやら、事件当時の映像が出力されたようです」

　テレビに映像が流れてからの第一声が、自分では明らかにおかしいと気を遣ったのかもしれない。アンジョリーヌがやや小声でカメラの向こう側に声をかける。

「残り時間45分でぇぇぇぇぇす！」

　わざわざアンジョリーヌまでもが気を遣ってくれたというのに、それをわざとらしく大声でぶち破ってくれる姫乙。どうやら、こうして待っている今も時間は経過しているらしい。文句のひとつでも言ってやろうと思ったが、今はテレビに流れる映像に注目すべきだ。安藤は吊り下げ式のテレビに集中する。

　ざっと見た限り、特に目立ったような点はなかった。生中継であることを知らせる【ＬＩＶＥ】との文字が、嫌でも緊迫感を持たせる。視聴覚室に向かい、カメラは香純の生首を発見。電子音のようなものが響き、芽衣の「伏せて！」との声が入る。画面に閃光が走り、爆発音らしきものが聞こえ、そして画面がフェイドアウト。そこで映像は終わっていた。

「さてぇ、これで映像は終わりのようですねぇ。いかがでしたかぁ？　お望みであれば何度でもお見せしますがぁ、諸君らもお察しの通りぃ、映像を見ている時でも時間は経過しますぅ。それくらいのことは言わずとも分かるとは思いますがぁ」