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#4 放課後殺人ショー【復讐篇】
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「おい安藤。どうなってんだ? これって大槻の言っていた通りのことが起きてるのかよ?」
もう姫乙の姿はないというのに、小声で問うてくる本田。必要最低限の情報しか与えられていないから、どれが芽衣の策略で、どれが芽衣の策略ではないのかが全く分からない。そもそも、香純の事件そのものが芽衣の仕業だとすれば、姫乙のことを欺くために香純のことを殺したことになる。いくらなんでもやりすぎというか、芽衣がそんなことをするとは思えなかった。
「分からない。でも、大槻さんは状況に対して、比較的冷静に対処をしていたように見える。どこまでが彼女の策略かは分からないけど、色々と深読みしすぎると、こちらが空回りしてしまうかもしれない。今はただ現実だけを受け止めておこう。越井さんが殺されて、そして誰にも越井さんは殺せなかった――今はそこに着地しておくべきだ。下手に動かないほうがいい」
安藤は喋っている間、舞の視線を何度か受けたことに気づいていた。とりあえず自分の見解を話すと、そのまま舞のほうに話を振る。
「進藤さん、なにか言いたいことがあるみたいだけど、どうした? 差し支えなければ、どんなことでもいいから発言して欲しい」
話をまとめる安藤だって、なにが起きたのか理解に苦しんでいるような状況。第三者から意見が出ることを拒むような状況にはない。むしろウエルカム。大歓迎だった。
「あの――裏切り者ってどういう意味なのかな? 殺害予告にも書いてあったけど」
それは安藤も気になっていたことだった。しかしながら、大体の見当はついていた。前回の事件において、姫乙はこちらの動きを知っていたような発言をしていた。それゆえに、もしかすると自分達の中に姫乙と内通している裏切り者がいるのではないかということになっていたが、その問題はそのままで落ち着いてしまっていた。お互いにお互いを疑い合うような真似は建設的ではないと、誰もが分かっていたからなのかもしれない。
「そのままの意味じゃね? 前に真綾達の中に裏切り者がいるかもしれないって話になったじゃん? で、その裏切り者が香純だったってこと。あの子ならやりそうだよ。裏ではなに考えてるのか分からないから」
曲がりなりにも同じグループだったわけだし、香純が亡くなったことに対して、多少は心を痛めてもいいのではないだろうか。安藤がそう感じてしまうほど、実にあっけらかんとした様子で言う真綾。香純がグループから浮いて見えていたのは、あながち気のせいではなかったのかもしれない。
もう姫乙の姿はないというのに、小声で問うてくる本田。必要最低限の情報しか与えられていないから、どれが芽衣の策略で、どれが芽衣の策略ではないのかが全く分からない。そもそも、香純の事件そのものが芽衣の仕業だとすれば、姫乙のことを欺くために香純のことを殺したことになる。いくらなんでもやりすぎというか、芽衣がそんなことをするとは思えなかった。
「分からない。でも、大槻さんは状況に対して、比較的冷静に対処をしていたように見える。どこまでが彼女の策略かは分からないけど、色々と深読みしすぎると、こちらが空回りしてしまうかもしれない。今はただ現実だけを受け止めておこう。越井さんが殺されて、そして誰にも越井さんは殺せなかった――今はそこに着地しておくべきだ。下手に動かないほうがいい」
安藤は喋っている間、舞の視線を何度か受けたことに気づいていた。とりあえず自分の見解を話すと、そのまま舞のほうに話を振る。
「進藤さん、なにか言いたいことがあるみたいだけど、どうした? 差し支えなければ、どんなことでもいいから発言して欲しい」
話をまとめる安藤だって、なにが起きたのか理解に苦しんでいるような状況。第三者から意見が出ることを拒むような状況にはない。むしろウエルカム。大歓迎だった。
「あの――裏切り者ってどういう意味なのかな? 殺害予告にも書いてあったけど」
それは安藤も気になっていたことだった。しかしながら、大体の見当はついていた。前回の事件において、姫乙はこちらの動きを知っていたような発言をしていた。それゆえに、もしかすると自分達の中に姫乙と内通している裏切り者がいるのではないかということになっていたが、その問題はそのままで落ち着いてしまっていた。お互いにお互いを疑い合うような真似は建設的ではないと、誰もが分かっていたからなのかもしれない。
「そのままの意味じゃね? 前に真綾達の中に裏切り者がいるかもしれないって話になったじゃん? で、その裏切り者が香純だったってこと。あの子ならやりそうだよ。裏ではなに考えてるのか分からないから」
曲がりなりにも同じグループだったわけだし、香純が亡くなったことに対して、多少は心を痛めてもいいのではないだろうか。安藤がそう感じてしまうほど、実にあっけらかんとした様子で言う真綾。香純がグループから浮いて見えていたのは、あながち気のせいではなかったのかもしれない。
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