糾弾ホームルーム！ ―ぼくたち、わたしたちの主張―

＃4 放課後殺人ショー【復讐篇】

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　安藤達は教室のテレビを使い、視聴覚室へと向かう芽衣達の姿を見守る。芽衣とアンジョリーヌ達は生放送をしながら視聴覚室へと向かった。同じ敷地内で、一度公共の電波を通して視聴覚室に向かう姿を伝えるという手段は、ある意味で電波の無駄遣いなのかもしれない。

　誰か不審な動きをするかもしれない――そのような理由で、姫乙には教室に残るように芽衣が提案した。堂々とクラスメイトを疑う芽衣の姿に苦笑いを浮かべた姫乙だったが、とりあえず提案を受け入れ、教室に残ることになった。

　全国の人々が注目するのと同様、安藤達もまたテレビを凝視していたわけだ。そして、全国の視聴者と一緒に目撃したのである。すなわち、香純の生首をだ。思わず寄ったカメラアングルに、教室ではみんなが言葉を失った。芽衣が何かしらの策略を仕掛けているにせよ、あの生首は確かに香純であった。曲がりなりにも毎日顔を合わせているクラスメイトがいうのだから間違いない。

　芽衣の伏せろとの声と同時に閃光に包まれる画面。時を同じくして轟音が辺りに駆け巡り、そして校舎自体がミシミシと揺れたような気がした。テレビの画面はブラックアウトし、画面には【しばらくお待ちください】とのテロップが出された。国営テレビのとっさの対応だったのであろう。

　再び画面が戻り、アンジョリーヌが慌てて放送を締めようとする。そんな彼女の背後には空が見えた。つい少し前までは視聴覚室があったであろう場所は、すっかり様変わりしてしまっていたのだった。

　ここで映像は途切れてしまったわけであるが、この時点で姫乙は鑑識官達を視聴覚室へと派遣。安藤達には教室で待っているように指示を出してから教室を後にした。残された安藤達は、それこそ姫乙の姿が見えなくなると同時に教室の一部へとほとんどが集合した。前回の事件から破滅願望を見せていた小雪だけが、安藤の席から少し離れた席に腰をかけたが――。

　芽衣は必要最低限の情報しか教えてくれなかった。つまり、近日中に何かが起きるということしか安藤達は知らなかったのだ。今回の香純の一件こそが芽衣の仕掛けた策略だとは思いたいが、そうかもしれないし、そうではないのかもしれない。そもそも、芽衣が自分の中に策略を留めているのは、他の人間がボロを出さないようにするためだ。

　人間というものは事情を知っていれば知っているほど――事情を知っていれば知っているほど、その仕草や反応がわざとらしく演技地味たものになってしまう。少なくとも事前に知っていることを、知らなかったように演技しなければならないわけだし、それがわざとらしくならないようにするには、必要最低限の情報しか出さないのがベストだと判断したのであろう。