糾弾ホームルーム！ ―ぼくたち、わたしたちの主張―

＃4 放課後殺人ショー【プロローグ】

＃4 放課後殺人ショー【プロローグ】1

　自宅のリビング、はたまた個人の部屋。ちょっと街に出れば街頭にもあるし、電気屋なんかにいけば所狭しと並んでいる。今の時代、車のカーナビの機能のひとつとして当たり前のように搭載されているし、田舎や都会など関係なく、ボタンひとつで様々な情報を得ることができる。

　――テレビ。

　それはかつて三種の神器と呼ばれ、第二次世界対戦後の日本において広く普及していった。街頭にあるテレビではプロレスが流され、人だかりが絶えなかったとか。テレビがある家というのは重宝され、わざわざご近所でテレビのある家に集まって、テレビ鑑賞をしたという。

　絶世期のテレビは、それこそ飛ぶ鳥を落とす勢いを持っていた。けれども、ネットというものが台頭してきたせいで、徐々に若者のテレビ離れが進み、かつてはテレビを観ていた世代も、面白い番組がない――と、テレビから離れつつあった。まぁ、大半が政府の意図通りの放送しか許されておらず、間違った報道や批判などは反逆罪になるのだから、嫌でも偏向報道になりがちになる。そんなテレビが面白いわけがない。

　しかしながら、皮肉にもそんなテレビで、史上最高となる視聴率が叩き出されようとしていた。それこそが人気キャスターであるアンジョリーヌを看板としたニュース番組だ。今は特番という形で、法案のモデルケースとして選ばれてしまったクラスの密着取材を放送していた。

『えー、こちらがですね、殺害予告のあった視聴覚室に続く廊下となります』

　日本各地の数万台にも及ぶテレビに映るキャスターは、カメラに向かって深刻そうな表情を見せた。普段から生放送がほとんどなのに、わざわざ画面の右上には【ＬＩＶＥ中継】などというテロップが入っていた。

『果たして殺害予告は本当なのでしょうか？　だとすれば、どのような手段で犯人は殺人に及ぶのでしょうか？　先ほど、説明させていただいた通り、生徒の方々には教室に残っていただき、代表として大槻芽衣さんが、わたくし共に同行しているという形です』

　カメラのほうに訴えかけるかのごとくキャスターは何度も振り返る。しかしながら、クラスの代表として選ばれた生徒は振り向きもせず、少し早足で歩く。しばらくするとどん詰まりへと突き当たる。カメラが教室名の書かれたプレートをアップにした。

　――視聴覚室。どこの学校にもあるけれども、その使用頻度は他の教室よりも低く、滅多に授業で使用されることはない。そもそも、メディア機器などが発達した現代において、視聴覚室は過去のものになりつつあるのかもしれない。