糾弾ホームルーム! ―ぼくたち、わたしたちの主張―

鬼霧宗作

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#3 罠と死体とみんなのアリバイ【糾弾ホームルーム篇】

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「せっかく場を盛り上げて差し上げようとしている姫乙の心遣いを、こうも一斉に踏みにじりますかぁ。あー、完全に興ざめしましたぁ。マジ、お前ら空気読めってやつですよぉ。みんなが見たがっているのはぁ、いたいけな少年少女が絶望する様なのにぃ。その姿に共感し、そして感情移入をする。それが大切なことなのにぃ、スカしたようなことばかり言いやがって」

 まだカメラは回っている。全国に向けて、姫乙が口にしている言葉も発信されているのだ。革命省の大臣が、そんなことを言ってもいいのだろうか。心のうちで思っているだけならばまだしも、当たり前のように口に出してしまうのはいかがなものか。まぁ、どうやら茶番はようやく終わったらしいが。

「私達が今知りたいのは答えよ。安藤君が導き出した答えは正解なの? それとも間違いなの?」

 天井裏から星野崎の指紋が検出された時点で、事件は星野崎自身による狂言殺人だった可能性が濃くなった。もう恐れることはなにもない。

「――あ、答えですね。はいはい、正解正解。なんでもぉ、諸君らを全員巻き込んで自殺をしたかったみたいですねぇ。犯人役と被害者がイコールで一致するとは誰も考えないでしょうし、発想として悪くはなかったのですがねぇ。残念ながらぁ、星野崎君の詰めが甘かったわけですねぇ」

 姫乙は明らかに面白くなさそうな表情を見せる。みんなを絶望に突き落とす時ばかり嬉々とした表情を浮かべるのに、こちらが思い通りに絶望しなければヘソを曲げる。事件もなんだか投げやりになってしまっていた。

「ちなみにぃ、今回の事件に関わった兵隊と鑑識官は後で姫乙のところに来るようにぃ。少しばかりお説教でぇぇぇす」

 あまりにも投げやりで、中途半端に放り投げられた答え合せ。それは正解だったわけであるが、姫乙がやる気を消失しながら答え合せをしたせいか、なんだか実感というのがわかない。本当ならば、クラスメイトで喜び合う場面なのであろうが、そのような空気でもない。

「それではぁ、これにて【糾弾ホームルーム】を終わりにしまぁぁぁす。あ、委員長、号令は結構。各自、ご自由にお帰りくださぁぁぁい」

 むしろ、号令をかけるなんてことがあっただろうか。明らかに覇気の抜けてしまった姫乙は、一定の段取りさえも投げやりになっているのかもしれなかった。

 おかげさんで本当に実感がない。今回も無事に【糾弾ホームルーム】を切り抜けられたという達成感のようなものもなければ、安心感もない。残ったのは気持ちの悪い後味の悪さだけ。
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