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#3 罠と死体とみんなのアリバイ【糾弾ホームルーム篇】
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安藤には不特定多数の証人ができた。どこの誰なのかも分からないし、どれだけの人がいるのかも分からない。しかしながら、確実に証人は日本全国にいる。ここまで大々的に証拠を全国へと提示してしまった以上、姫乙も適当にあしらうことはできないだろう。
「姫乙、ここには天井裏に残された指紋と星野崎の指紋が一致したと書かれている。しかも、ボウガンを固定するガムテープからも指紋は検出されているんだ。つまり、星野崎は天井裏に出入りしていたし、時限式のボウガンの存在も知っていた。そして、自ら仕掛けたボウガンによって死ぬなんて間抜けなこと――自殺でもしようと思わない限り、あり得ないことだと僕は思うんだ」
状況的な証拠はすでに揃っていたが、土壇場でリング上に投げ込まれた資料が、姫乙のノックダウンを奪ったようだった。いつもならば、人をどこか見下した感じで、ニタニタと気味の悪い笑みを浮かべる姫乙が、真顔でこちらを見ている。こめかみには血管が浮き出ており、表面からは分からないが相当に怒っているようだ。
「さぁ、ここから革命省の姫乙大臣はどう切り返すのでしょうか? こちらの番組は多くの国民が観ていることでしょう。下手なごまかしは許されません」
カメラの向こう側へと訴えつつ、徐々に姫乙の立つ瀬を狭めていくアンジョリーヌ。彼女が国民へと語りかける度に、姫乙が現状をごまかすことが難しくなっているような気がする。さすがはプロ――言葉によって伝える仕事をしているだけのことはある。
「姫乙、そろそろ結論を教えろよ。僕達の答えは合っているのか、それとも間違っているのか――もう、こっちは方程式を提示したぞ」
それはどれもが完璧なものではなかった。中にはロジックとして破綻している方程式もあったことだろう。しかし、いくつもの方程式を連ねることにより、星野崎が自殺であることを証明することができた。しかも、状況的な証拠で固めようとしていた矢先、決定的な物的証拠まで出てきてくれる始末。これはもう、勝てと言われているようなものだ。それが何者かは分からないが、神であろうと悪魔であろうと構わない。
「緊張の一瞬です。果たして彼らの答えは正しかったのか、それとも間違っていたのか。我々はまた一歩退き、見守ろうと思います」
アンジョリーヌはそう言うと安藤のほうへと視線を持ってきて、ウインクをしてきた。そして、安藤にしか聞こえない程度の声で、去り際に言葉を残す。
「私ができるのはここまで。後は――頑張ってね」
「姫乙、ここには天井裏に残された指紋と星野崎の指紋が一致したと書かれている。しかも、ボウガンを固定するガムテープからも指紋は検出されているんだ。つまり、星野崎は天井裏に出入りしていたし、時限式のボウガンの存在も知っていた。そして、自ら仕掛けたボウガンによって死ぬなんて間抜けなこと――自殺でもしようと思わない限り、あり得ないことだと僕は思うんだ」
状況的な証拠はすでに揃っていたが、土壇場でリング上に投げ込まれた資料が、姫乙のノックダウンを奪ったようだった。いつもならば、人をどこか見下した感じで、ニタニタと気味の悪い笑みを浮かべる姫乙が、真顔でこちらを見ている。こめかみには血管が浮き出ており、表面からは分からないが相当に怒っているようだ。
「さぁ、ここから革命省の姫乙大臣はどう切り返すのでしょうか? こちらの番組は多くの国民が観ていることでしょう。下手なごまかしは許されません」
カメラの向こう側へと訴えつつ、徐々に姫乙の立つ瀬を狭めていくアンジョリーヌ。彼女が国民へと語りかける度に、姫乙が現状をごまかすことが難しくなっているような気がする。さすがはプロ――言葉によって伝える仕事をしているだけのことはある。
「姫乙、そろそろ結論を教えろよ。僕達の答えは合っているのか、それとも間違っているのか――もう、こっちは方程式を提示したぞ」
それはどれもが完璧なものではなかった。中にはロジックとして破綻している方程式もあったことだろう。しかし、いくつもの方程式を連ねることにより、星野崎が自殺であることを証明することができた。しかも、状況的な証拠で固めようとしていた矢先、決定的な物的証拠まで出てきてくれる始末。これはもう、勝てと言われているようなものだ。それが何者かは分からないが、神であろうと悪魔であろうと構わない。
「緊張の一瞬です。果たして彼らの答えは正しかったのか、それとも間違っていたのか。我々はまた一歩退き、見守ろうと思います」
アンジョリーヌはそう言うと安藤のほうへと視線を持ってきて、ウインクをしてきた。そして、安藤にしか聞こえない程度の声で、去り際に言葉を残す。
「私ができるのはここまで。後は――頑張ってね」
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