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#3 罠と死体とみんなのアリバイ【糾弾ホームルーム篇】
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「ん? おっしゃっている意味が良く分かりませんねぇ。アベンジャー全員皆殺しですか。アベンジャーを含む2年4組全員皆殺し――と、アベンジャー皆殺しではかなり意味合いが違ってきますがぁぁぁ」
ある意味、この根拠が成立したのは偶然だと言ってもいい。ほんの少しのタイミングのズレがもたらした、偶発的な事象だ。あの時――第二のホームルームが終わった際、星野崎の母親が彼を迎えにきてくれなければ、また状況は全く変わっていただろう。
「てっきり姫乙は知っていると思ったんだけどな。それとも、知っていながらとぼけているだけ?」
姫乙にはこちらが秘密裏に動いていた情報が漏れていた可能性がある。姫乙自身が2年4組には裏切り者がいると言っていたし、内通者がいる可能性はかなりのものになるだろう。だからこそ、姫乙も気づいているはずなのだ。星野崎を犯人だと証明する証拠が転がっていることに。
「実は第二の事件の後……僕達は少しだけ話し合いをすることにしたんだよ。今後、どうするべきかをね」
「安藤君――」
芽衣がそこで口を挟んでくる。彼女と目を合わせると、安藤は小さく頷いた。どこまで情報が流出しているかは分からないが、余計なことまで喋るなということなのであろう。言われなくとも、それくらいの考慮はするつもりである。
「あの時、何事もなければ、僕達の話し合いに星野崎も加わっていたと思う。いくらクラスで疎まれていた存在だからって、状況が状況だから仲間外れにすることはできない。下手に彼だけを排除すれば、プライドの高い彼のことだ。きっと僕達が裏で何かをしようとしていることを、悪びれもせず外に暴露していた恐れもある。あらゆることを考えても、彼だけを迎合しないことは僕達にとってデメリットしかないんだ」
人間的に問題があった星野崎。彼をうまい具合に手の平の上で転がすには、きっと話し合いに参加させるしかなかったと思う。しかし、ここで何も事情を知らない母親が登場してしまったのだ。
「でも、実際のところ、僕達の間で話し合いが行われることが決定される以前に、星野崎は母親と一緒に帰ってしまった。その結果、星野崎抜きで話し合いの場がもたれることになった。これこそが――僕達と星野崎の間に認識の差を生んだんだよ」
星野崎のみ話し合いに参加しなかった。その話し合いの中で、安藤達はある共通認識を共有した。それは――クラスメイト誰一人残らず、全員がアベンジャーであるということ。
ある意味、この根拠が成立したのは偶然だと言ってもいい。ほんの少しのタイミングのズレがもたらした、偶発的な事象だ。あの時――第二のホームルームが終わった際、星野崎の母親が彼を迎えにきてくれなければ、また状況は全く変わっていただろう。
「てっきり姫乙は知っていると思ったんだけどな。それとも、知っていながらとぼけているだけ?」
姫乙にはこちらが秘密裏に動いていた情報が漏れていた可能性がある。姫乙自身が2年4組には裏切り者がいると言っていたし、内通者がいる可能性はかなりのものになるだろう。だからこそ、姫乙も気づいているはずなのだ。星野崎を犯人だと証明する証拠が転がっていることに。
「実は第二の事件の後……僕達は少しだけ話し合いをすることにしたんだよ。今後、どうするべきかをね」
「安藤君――」
芽衣がそこで口を挟んでくる。彼女と目を合わせると、安藤は小さく頷いた。どこまで情報が流出しているかは分からないが、余計なことまで喋るなということなのであろう。言われなくとも、それくらいの考慮はするつもりである。
「あの時、何事もなければ、僕達の話し合いに星野崎も加わっていたと思う。いくらクラスで疎まれていた存在だからって、状況が状況だから仲間外れにすることはできない。下手に彼だけを排除すれば、プライドの高い彼のことだ。きっと僕達が裏で何かをしようとしていることを、悪びれもせず外に暴露していた恐れもある。あらゆることを考えても、彼だけを迎合しないことは僕達にとってデメリットしかないんだ」
人間的に問題があった星野崎。彼をうまい具合に手の平の上で転がすには、きっと話し合いに参加させるしかなかったと思う。しかし、ここで何も事情を知らない母親が登場してしまったのだ。
「でも、実際のところ、僕達の間で話し合いが行われることが決定される以前に、星野崎は母親と一緒に帰ってしまった。その結果、星野崎抜きで話し合いの場がもたれることになった。これこそが――僕達と星野崎の間に認識の差を生んだんだよ」
星野崎のみ話し合いに参加しなかった。その話し合いの中で、安藤達はある共通認識を共有した。それは――クラスメイト誰一人残らず、全員がアベンジャーであるということ。
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