糾弾ホームルーム! ―ぼくたち、わたしたちの主張―

鬼霧宗作

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#3 罠と死体とみんなのアリバイ【糾弾ホームルーム篇】

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「事件の全貌を見つめた時、他殺と自殺とでは事件の見方が全く変わってくるわね」

 芽衣の言葉に頷くと、やはり隙を与えてしまったのであろう。小雪が口を開く。

「じゃあ、あのダイイングメッセージは――」

「ダイイングメッセージでもなんでもなかった。いや、ダイイングメッセージとも解釈できるように細工された単なるメモだったんだよ」

 すかさず口を挟み、きっぱりと言い切ってやった。完全にペテンにはめらてしまったのだ。安藤のみならず、クラスメイト全員が星野崎に騙されていたのである。

「星野崎が握っていた紙切れ。あれはかつて星野崎がクラスの女子に向けて書いたラブレターだったらしい。実際にどれだけの人がもらったものかは知らないけど、進藤さんは――星野崎からあれと同じ文面のものをもらったんだよね?」

 星野崎の握っていた紙切れは、クラスの女子に送った――いや、送りつけたラブレターの一部だった。舞がこくりと頷くと、安藤は辺りを見回す。

「他に同じものをもらったという人はいる?」

 対象になるのは舞以外の女子。芽衣、小雪、香純、真綾だ。改めて減ってしまったなと思った。あれだけいたクラスメイトが、ここまで減ってしまった。でも、女子のほうが人数が多いのだ。男子の生き残りなんて、安藤と本田、そして小宮山だけだ。もっとも、追放された坂崎が無事でいてくれているが。

 安藤の問いかけに手を挙げる女子はいなかった。もし、クラスの女子全員が生きていたら、何人かは手を挙げていたのかもしれない。

「――星野崎はラブレターの一部を握りしめて絶命していた。そして、ラブレターをもらったのは、この中では進藤さんだけだ。よって、星野崎は進藤さんが犯人であるとダイイングメッセージを残した。解釈によっては、この着地点に着地することも充分にあり得たと思う」

 自分の名前を出され、しかも犯人という言葉と組み合わされたせいか、やや舞の顔色が悪くなる。安藤は「あくまでも例え話だよ。誰も進藤さんが犯人だなんて言ってない」とフォローを入れてやった。

「他の解釈をすれば、五十嵐さんが言ったように越井さんを犯人だと指し示すダイイングメッセージとも受け取れてしまう。それっぽいヒントと、それっぽい答えを用意することによって、私達は彼にミスリードされていたってわけね――」

 言いたかった台詞を芽衣にとられてしまった安藤は、とりあえず賛同の意を込めて頷いた。この事件は全て星野崎のミスリードだったのだ。
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