糾弾ホームルーム! ―ぼくたち、わたしたちの主張―

鬼霧宗作

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#3 罠と死体とみんなのアリバイ【糾弾ホームルーム篇】

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 姫乙のわざとらしい嫌がらせは続く。大日本帝国憲法を引っ張り出し、国民の在り方をテレビの向こう側へと問う。こうしている今も、刻一刻と時間が経過しているのだ。まだ真相もへったくれもない状況で、みんなと話し合える時間がなくなるのは致命的だ。

「もう姫乙のことなんて関係ない! みんな、集まって! これも制限時間内であるのならば、私達が議論をしても問題ないはずよ!」

 姫乙の一人舞台をずっと眺めている暇はない。それに、時間が経過している以上は、安藤達に議論の権利は生じているはず。芽衣の機転によって、全員が芽衣の周りへと集まった。まだ、姫乙による演説は続いており、議論の行方を見守りたい視聴者からすれば良い迷惑だ。しかし――そんなことまで気にかけてやる余裕はない。

「体感的に残り時間は5分とちょっと。泣いても笑っても、結論を出さなければ全滅よ。正直なところ――まだ結論を出せる段階までいたっていないのが実情だと思う。だからなんでもいい。なんでもいいから、気付いたことを口にして欲しいの。もうこうなったら意見の撃ち合いよ。下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる――じゃないけど、正攻法でじっくりと地盤を固めている時間はない。上手くいくかは分からないけど、もうそれしか方法はないと思う」

 芽衣の言葉に、小雪を除く全員が頷いた。小雪は確か、自殺願望のようなものを抱いていた。どちらかというと、生きることに対する放棄といったほうがいいか。彼女にとっては、ここで全滅してしまっても構わないわけだから、協力的になる必要もない。むしろ、小雪の発言には注意したほうがいいのかもしれない。

「というわけでぇぇぇ、残り時間は5分ジャストでぇぇぇす!」

 しっかりと時間稼ぎをしてくれた姫乙が、懐中時計を片手に宣言する。たかが5分、されど5分。このわずかな時間に、安藤達の運命が託されている。

「それじゃあ早速だけどよ、道場の天井裏に指紋が残されていないってどういうことだよ? 細かい作業なんかをする時は手袋なんてできないだろうし、どう考えても指紋は残るはずだぜ」

 よほど自信があったのに、それが空振りだったのが面白くないのだろう。本田が言う。それに反応したのは小雪だった。

「でも、嘘の情報が私達にもたらされたとは思えない。その辺りはフェアじゃないと、そもそも【糾弾ホームルーム】が成立しない。だから、指紋が検出されなかったというのも、嘘偽りのない事実だと思う」
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