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#3 罠と死体とみんなのアリバイ【糾弾ホームルーム篇】
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小宮山の反論に首を振り、逆に言い返す舞。彼女が発言するたびに、精一杯の勇気を振り絞ってのアピールしているかのように見えてしまう。それだけ、普段は大人しくて静かなイメージが強いのだろう。
「その――私、実際にもらったことがあるの。星野崎君から、それらしいものを」
誰かの息を飲む音が聞こえた。舞の推測は、それこそ確証がなければトンデモ理論に該当するほどの突飛なものであり、またこじつけのような印象も強い。けれども……実際に舞が星野崎からラブレターをもらったことがあるのならば話は別。はっきりと本人はラブレターと言わなかったが、イコールで解釈しても問題はないだろう。
「進藤さん。それは本当なの?」
舞がわざわざ嘘をつくとも思えないが、しかし確認したくなる芽衣の気持ちも分からなくはない。それだけ情報が尖っているというか、なかなか受け入れがたいものだったからだ。
「うん。私がもらったものにも同じ文章が書かれていたの。しかも、紫色のマジックペンが使われていたと思う」
舞は眉を八の字にしながら芽衣に答える。本人はそんなつもりはないのだろうが、眉毛の角度のせいで困っているような表情になってしまっている。引っ込み思案の彼女だからこそ、表情や仕草もそのように見えてしまうだけなのかもしれない。
「差し支えなければ、どんな内容が書かれていたのか教えてもらえない? まぁ、関係があるとは思えないんだけどね」
星野崎が握りしめていた紙切れは、ダイイングメッセージではなく、誰かに宛てて出したラブレターの一文だった。これが事実として確立できれば、小雪の唱えるダイイングメッセージ説は完全に否定されることになるだろう。
「あんまり内容は覚えてないんだけど、出会ってくれてありがとう――みたいな文章はあったと思う。その、じっくりと読んだわけじゃないから」
舞の返答に芽衣は小さく溜め息。小さく首を振りつつ「まぁ、それだけ内容が気持ち悪かったってことね。大体の想像はできるわ」と漏らす。舞は大きく頷いた。
「うん、なんか全体的にポエムみたいな感じになってて、途中で気味が悪くなっちゃったから」
今は亡き星野崎。言われたい放題であるが、その行動力には脱帽ものである。きっと本人は相手がドン引きすることもなく、むしろロマンティックな演出に胸をときめかせるとでも思っていたのだろう。空気を読めず、また他人の気持ちも読めない星野崎ならばあり得ることだ。
「その――私、実際にもらったことがあるの。星野崎君から、それらしいものを」
誰かの息を飲む音が聞こえた。舞の推測は、それこそ確証がなければトンデモ理論に該当するほどの突飛なものであり、またこじつけのような印象も強い。けれども……実際に舞が星野崎からラブレターをもらったことがあるのならば話は別。はっきりと本人はラブレターと言わなかったが、イコールで解釈しても問題はないだろう。
「進藤さん。それは本当なの?」
舞がわざわざ嘘をつくとも思えないが、しかし確認したくなる芽衣の気持ちも分からなくはない。それだけ情報が尖っているというか、なかなか受け入れがたいものだったからだ。
「うん。私がもらったものにも同じ文章が書かれていたの。しかも、紫色のマジックペンが使われていたと思う」
舞は眉を八の字にしながら芽衣に答える。本人はそんなつもりはないのだろうが、眉毛の角度のせいで困っているような表情になってしまっている。引っ込み思案の彼女だからこそ、表情や仕草もそのように見えてしまうだけなのかもしれない。
「差し支えなければ、どんな内容が書かれていたのか教えてもらえない? まぁ、関係があるとは思えないんだけどね」
星野崎が握りしめていた紙切れは、ダイイングメッセージではなく、誰かに宛てて出したラブレターの一文だった。これが事実として確立できれば、小雪の唱えるダイイングメッセージ説は完全に否定されることになるだろう。
「あんまり内容は覚えてないんだけど、出会ってくれてありがとう――みたいな文章はあったと思う。その、じっくりと読んだわけじゃないから」
舞の返答に芽衣は小さく溜め息。小さく首を振りつつ「まぁ、それだけ内容が気持ち悪かったってことね。大体の想像はできるわ」と漏らす。舞は大きく頷いた。
「うん、なんか全体的にポエムみたいな感じになってて、途中で気味が悪くなっちゃったから」
今は亡き星野崎。言われたい放題であるが、その行動力には脱帽ものである。きっと本人は相手がドン引きすることもなく、むしろロマンティックな演出に胸をときめかせるとでも思っていたのだろう。空気を読めず、また他人の気持ちも読めない星野崎ならばあり得ることだ。
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