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#3 罠と死体とみんなのアリバイ【糾弾ホームルーム篇】
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「ねぇ、安藤君。人間って不便だと思わない? それぞれが全く違う個体として世の中に存在していながら、その個体全てが絶対に調和できないように作られている。まずは生まれた場所――国によって、お互いに争わなけらばならない時がある。はたまた人種によっては争ったり迫害されたりしなければならない。そして、単純に性格の違いによっても、衝突する。人間はね――最初から争い合うようにできているの」
安藤が小雪のカミングアウトに戸惑っていたせいだろうか。彼女は持論のようなものを展開させる。彼女が台頭してきた辺りから、どうにも癖があるかもしれないと警戒はしていたが、どうやらそれは間違いではなかったらしい。
「だからね、決して越井さんが悪い――というわけではないの。たまたま私と相性が合わなかっただけなの。星野崎君だって同じ。たまたま運が悪く、私達と合わない性格だったから、このクラスで浮いてしまっただけ。誰も悪くはない。強いて言うのであれば、人間に組み込まれたプログラムのせいなの」
小雪の言葉に圧倒されそうになりつつも、安藤はぎりぎりのところで堪えた。今はそんなことを話している場合ではないから。
「五十嵐さん、残念だけど、それとダイイングメッセージは何も関係ないよ。ただ、君が私的感情で越井さんを犯人にしたがっている可能性があることだけは充分に分かったよ」
安藤は話を元に戻すと、事実だけを口にした。彼女の哲学をこれ以上聞くつもりはない。逆に、こちらの言い分を彼女に聞いてもらう。
「どうやらこれ以上僕と話しても無駄のようだ。先入観は事実を見る際に必ず邪魔になる。君がどれだけ否定したって、私的感情で彼女を犯人にしたがっていることは間違いない。一度、ここは議論を中断すべきだ」
議論を交わす際に、一対一というのはよろしくない。議論の前に意見が一致してしまえば、わずか二人の意見だけで答えが決定されてしまう。良くも悪くも、議論が始まる前に両者の意見が対立している必要があり、しかしそれを戦わせたところで、客観的に見る第三者がいないから、話し合いは平行線をたどるだけになる。
「――私とこれ以上議論しなくとも、本田君達がファインプレイをしてくれたみたいだものね。でも安藤君、これだけは覚えておいたほうがいいわ。誰もが2年4組として仲良しこよしがしたいわけではないの」
安藤が小雪のカミングアウトに戸惑っていたせいだろうか。彼女は持論のようなものを展開させる。彼女が台頭してきた辺りから、どうにも癖があるかもしれないと警戒はしていたが、どうやらそれは間違いではなかったらしい。
「だからね、決して越井さんが悪い――というわけではないの。たまたま私と相性が合わなかっただけなの。星野崎君だって同じ。たまたま運が悪く、私達と合わない性格だったから、このクラスで浮いてしまっただけ。誰も悪くはない。強いて言うのであれば、人間に組み込まれたプログラムのせいなの」
小雪の言葉に圧倒されそうになりつつも、安藤はぎりぎりのところで堪えた。今はそんなことを話している場合ではないから。
「五十嵐さん、残念だけど、それとダイイングメッセージは何も関係ないよ。ただ、君が私的感情で越井さんを犯人にしたがっている可能性があることだけは充分に分かったよ」
安藤は話を元に戻すと、事実だけを口にした。彼女の哲学をこれ以上聞くつもりはない。逆に、こちらの言い分を彼女に聞いてもらう。
「どうやらこれ以上僕と話しても無駄のようだ。先入観は事実を見る際に必ず邪魔になる。君がどれだけ否定したって、私的感情で彼女を犯人にしたがっていることは間違いない。一度、ここは議論を中断すべきだ」
議論を交わす際に、一対一というのはよろしくない。議論の前に意見が一致してしまえば、わずか二人の意見だけで答えが決定されてしまう。良くも悪くも、議論が始まる前に両者の意見が対立している必要があり、しかしそれを戦わせたところで、客観的に見る第三者がいないから、話し合いは平行線をたどるだけになる。
「――私とこれ以上議論しなくとも、本田君達がファインプレイをしてくれたみたいだものね。でも安藤君、これだけは覚えておいたほうがいいわ。誰もが2年4組として仲良しこよしがしたいわけではないの」
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