糾弾ホームルーム！ ―ぼくたち、わたしたちの主張―

＃3 罠と死体とみんなのアリバイ【糾弾ホームルーム篇】

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　小宮山の意見は残念ながら完全スルー。小宮山の難癖よりも、真綾達の意見の正当性のほうが勝ったようだった。

「ボウガンの固定というデリケートで細かい作業をする際は、必ず指紋を隠蔽するためにはめている手袋が邪魔になるはずだ。適当に設置するんなら、そのままでもいいかもしれねぇけどよ。後々になって自動的に星野崎に向かっていくように仕向けなきゃならないとなると、角度なんかも調整しながら設置しなきゃいけなくなる。で、さっきも言ったけど、細かい作業をするには手袋が邪魔になる。だから、ボウガンの周辺を特に詳しく――」

「ふっ、拭き取ったのかもしれない。全部の用意が終わった後に、改めて指紋を拭き取ったという可能性だってあるはずだ」

　鑑識官を手に余らせていることは事実であるし、それなりに整合性のある提案なのだから、あっさりと受け入れてやればいいのに、ここでも変なプライドが込み上げてきたのか、小宮山が口を挟む。進行役として置いておくには議論の進め方が下手くそであるが、しかし彼には進行役の役割だけを与えておいたほうが良いような気がする。さっきから言っていることが見当違いというか、単純に推察不足なだけなのだから。

「もちろん、そんなことは本田君達も分かっている。でも、現場に残されたある物に関しては、指紋も拭き取れないと考えている――そうでしょう？　本田君」

　この内容を議論している暇はないのだが、小宮山をこのままにしておくと面倒だと芽衣も考えたのかもしれない。本田達と小宮山のやり取りに便乗して、小宮山を黙らせてしまうつもりなのかもしれない。

「どっかの誰かと違って、大槻は話が早いから助かるぜぇ。その通りだ。もしボウガンがテープによって固定されていて、細かい作業が必要とされる場面があったのだとすれば、高確率で残されているはずなんだよ。使用されたテープの粘着面に犯人の指紋がな」

　本田が言い切った言葉を受けてか、小宮山が明らかに息を詰まらせた。残念なことにまともなことを言っているのは本田達であり、散々噛み付いたはずの小宮山の歯はボロボロだ。

「どう？　そこを調べてもらえば一発で犯人が分かるかもしれないっこと。これだけの理由があれば、鑑識官を動かしても損にはならないっしょ？」

　本田と真綾に混じりたかったのか、それとも変な孤独感でも抱いていたか、まるで自分の手柄のように口を開いた香純の姿に、小さく――本当に気付かないほど小さくであるが、舌打ちが聞こえたような気がした。