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#3 罠と死体とみんなのアリバイ【糾弾ホームルーム篇】

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 それぞれがそれぞれの考えを元に、これからの方針を主張する三人のところへと集まる。

 芽衣のところには、安藤と――意外なことに舞が集まった。もう少し芽衣の提案に賛同する者がいるかと思ったのであるが――。

 辺りを見回していると、どこに向かおうか散々と迷った挙げ句、小宮山がこちらに向かってきた。それを見た芽衣が、安藤にそっと近寄り、耳打ちをしてくる。不謹慎だが良い匂いがした。

「安藤君、ここで私と安藤君が固まるのはよろしくないわ。できることであれば、そうね――五十嵐さんのほうに行ってくれるとありがたいのだけど」

 意見の分散、そして議論の分散。そんな状況の中で、芽衣は戦力まで分散したいようだ。まぁ、こんなことを言ってくれるということは、それだけ信用されている証拠であり、喜ばしいことでもあるのだが。

 安藤は芽衣の言葉に小さく頷くと、そっと輪の中から離れた。まだ形成される前の輪であったから、そこまで不自然にはならなかったことであろう。

 芽衣は議論を分散させようと提案した。けれども、それぞれの議論が暴走されてしまうと、後になって面倒になるかもしれない。それを懸念して、小雪の議論に加わるように、芽衣は願ってきたのかもしれない。

 真綾達に関しては、暴走したところで無茶振りを要求されるのは鑑識官である。どうしても調べたいことがあるわけではないし、話がどう転んでも致命的なものにはならない。ゆえに、安藤が潜り込むのであれば、小雪の主張――ダイイングメッセージに関する議論のほうだ。

 安藤が小雪のところに向かった時点で、大まかなグループ分けは終わっていたように見えた。

 鑑識官を使うべきと主張する真綾のところには、彼氏としての義理だろうか本田。そして同じギャル仲間としてなのか香純が集まったようだった。香純にいたっては、ダイイングメッセージの件で疑われているのだから、集まるべき場所が違うような気がするのだが――。

 芽衣のところに集まったのは小宮山と舞。教壇の上から全体を眺めていた進行役と板書の二人は、客観的に見て芽衣の主張に賛同することにしたのだろう。本当はそちらのほうに加わりたかったのであるが、良くも悪くも小宮山と舞は人畜無害。芽衣の独壇場にて話が進むだろうから、そこまで混乱が起きるとは思わない。

 問題はむしろ、自分のほうかもしれない。小雪と安藤――ここだけ、わずか二人。二人きり。安藤が向かった時に見せた彼女の笑みは、果たして何を意味するのか。
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