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#3 罠と死体とみんなのアリバイ【復讐篇】

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 犯人は安藤達と一緒に体育館前にいる。けれども、道場の屋根裏に仕掛けられた自動殺人装置は、時間通りに作動する。そして、ボウガンの矢は星野崎を射抜いた。犯人はみんなと一緒に星野崎の遺体を発見すればいい。これでアリバイは成立する。ただ、このやり方だといくつもの矛盾点が存在することになってしまうのだ。

 発想としては悪くないと思う。悪くはないが、面白いほどに矛盾点が出てきてしまうのも事実。この辺りは、きっと【糾弾ホームルーム】内でも議題として取り上げられることになるだろう。その際にみんなと話し合ったほうがいいかもしれない。

 解けそうで解けない――というか、外れそうで外れない知恵の輪のような感覚。もう少しで外れそうな気はするのだが、突き詰めてみると、明らかに外れはしないことが分かってしまう。あと一手だけ足りないのだが、それがどんな一手であっても詰んでしまうのだ。

 とにかく、芽衣辺りが自動殺人装置のことには触れてくれるだろう。もし議題に上がらないのであれば、自分が議題として上げてしまってもいい。今はここで留めておいて、他の情報を取り入れるべきだ。安藤は資料の続きに目を通した。

【なお、事件と関係があるかは定かではないが、道場の最南西の畳一枚のみに、毛羽立ちのような傷がいくつか確認されている。何かを突き刺し、何かを引き抜いたかのような形跡であった。補足になるが、替えの畳は道場の北東の隅に積み上げられていた】

 何かを突き刺し、何かを引き抜いた――。事件が事件であるせいか、真っ先にボウガンを連想してしまうのは、きっと安藤だけではないだろう。ただ、どうして最南西の畳に妙な傷が残っているのか。これには現段階でも説明がつくと思われる。もちろん、みんなと【糾弾ホームルーム】で話し合い、しっかりと確認する必要があるだろうが。

【遺体の手の中には遺留品が残されていたらしい。この辺りは先に生徒達が発見してしまったため、鑑識としては事実のみを記述する。遺留品は丸められた形跡のある紙切れであり、そこには『ありがとう』との文字が書き記されていた。紙切れからは、大槻芽衣、本田一馬、星野崎龍斗の指紋が検出されている。また、本田一馬より没収したマジックペンのインクと、紙切れに書き記された文字のインクが同じものであることが判明した】

 紙切れから出た指紋は、あの時に紙切れを触ってしまった人間と、星野崎本人のものだけ。マジックペンが本田から没収されたことになっているが、正確には本田が星野崎のズボンのポケットから見つけたものだ。
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