糾弾ホームルーム！ ―ぼくたち、わたしたちの主張―

＃3 罠と死体とみんなのアリバイ【復讐篇】

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　安藤は資料を読み進めながら、早速推測を組み立て始めていた。やはり、星野崎は背後からボウガンで射抜かれたようだ。それが直接的な死因に繋がったことも間違いないらしい。鑑識の結果として提示されているのだから、これらの情報は全て事実として受け入れても問題ない。これで鑑識の結果に嘘偽りがあった場合、フェアではなくなるから。

【現場からは遺体に残されたボウガンの矢のほかに、２本の矢が見つかっている。いずれも道場西側の壁に突き刺さっており、そのうちの１本からは安藤奏多君の指紋が検出された。もう１本の矢と、遺体に刺さった矢からは指紋が検出されなかった】

　思わぬところで自分の名前が出てきて驚いた安藤は、思わず周囲を見回してしまった。みんなが自分のほうへと視線を向けている――なんてことはなく、とりあえず安堵の溜め息を漏らす安藤。壁に刺さっていた２本の矢のうちの１本に、不用意に触っていたことを思い出す。あの時、自分の指紋が付着してしまったのであろう。

【またボウガン本体は道場の屋根裏から見つかった。屋根裏そのものは、シャワー室の天井から登ることが可能であり、人が中腰で歩ける程度の高さがあった。天井裏には梁はりと柱が張り巡らされており、ボウガンは柱にガムテープで固定されていた】

　そこまで目を通して手を止める。これまで知りもしなかった情報が出てきてしまったおかげで、頭の中が一瞬だけごちゃごちゃになってしまう。

　凶器のボウガンは、どうやら現場から持ち去られたわけではなかったらしい。どうやら、犯行後に屋根裏部屋へと隠されたようだ。ガムテープを使って柱に固定しておいたのは、回収する時に見つけやすくするためだったりするのだろう。

【ボウガンが固定されていた柱は、図の丸印の位置になる。また、ボウガンには細工を施された形跡があり、特定の時間になると矢が発射される仕掛けだったと思われる。また、道場の天井に、直径数センチの穴がいくつか空いていることが判明した。これもまた、丸印の位置に集中している】

　思わず大きな溜め息が出た。資料には屋根裏の見取り図のようなものが、１ページを丸々使って載のせられており、その見取り図に赤丸の印がつけられている。その図を素直に読み取ると、どうやらボウガンが固定されていたのは、位置的に道場の奥になるようだ。この時点で、ある推測が成り立つことであろう。きっと、誰もが同じようなことに気付いていると思われる。