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#3 罠と死体とみんなのアリバイ【復讐篇】
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アベンジャーの望みは不気味ではあるものの、安藤達からすれば勝ちさえすれば問題ない。だからこそ、他のクラスメイトも異論を唱えなかったのだろう。それとも、異論を唱えたところで無駄であると思っていたのか。
「さて、それでは諸君らには鑑識からの結果をお渡しすることにしましょう。本当ならば、この姫乙が趣向を凝らしてじっくり編集したかったのですがぁ、どうにも諸君らが死に急ぐみたいですのでぇ、今回は淡白な作りになっていますが、どうかご勘弁を」
姫乙はそう言うと、すっかりと数が少なくなってしまった冊子を配り始めた。もはや姫乙が手配りできるほど人数が減っている。もうこれ以上、誰も失いたくはないのだが、しかし――裏切り者が【糾弾ホームルーム】で暴かれ、そして追放されることになるだろう。
「はいぃ、安藤君。いかがですかぁ? この緊張感あふれる学校生活はぁ――」
黙って資料だけ寄越せばいいものを、わざわざ余計な一言を添えてくる姫乙。あえて無視したところで彼が黙るわけがない。
「まぁ、君にとってはぁ、大きなスクールカーストの壁を乗り越えぇ、今や2年4組に欠かせない存在となりましたぁ。こんなことが起きでもしない限り、いまだに教室の隅っこで寝たふりをしている昼行灯だったかもしれなのにねぇ――」
姫乙の言っていることは間違っていなかった。でも、現状に感謝するつもりはない。多くのクラスメイトの命が失われ、まだそれでも物足りないという状況に陥るくらいならば、卒業まで昼行灯でいたほうがマシだった。こんな状況で必要とされる自分を、ほんの少しだけ呪いたくなる。
徹底的に無視してやると、姫乙は面白くなさそうに眉をひそめ、ようやく安藤のそばを離れた。安藤は小さく溜め息を漏らすと、資料を開く。前回のものとは違い、実に内容はシンプルで淡白なものとなっている。きっと前回もこのような形で資料が上がってきたのだろうが、姫乙が改稿に改稿を重ねた結果、ふざけた感じの資料となったのであろう。とにもかくにも、この資料の中に答えがあるはず――安藤は資料の中へと意識をダイブさせた。
【事件概要。発生時刻、本日午後1時すぎ。校内の道場にて生徒が遺体を発見。遺体はボウガンの矢で背部を撃たれており、鑑識の結果、それは心臓部にまで達していた。死因は心臓からの大量出血による外傷性ショックだと思われる。他に目立った外傷は見当たらず、また争った形跡などもなかった】
「さて、それでは諸君らには鑑識からの結果をお渡しすることにしましょう。本当ならば、この姫乙が趣向を凝らしてじっくり編集したかったのですがぁ、どうにも諸君らが死に急ぐみたいですのでぇ、今回は淡白な作りになっていますが、どうかご勘弁を」
姫乙はそう言うと、すっかりと数が少なくなってしまった冊子を配り始めた。もはや姫乙が手配りできるほど人数が減っている。もうこれ以上、誰も失いたくはないのだが、しかし――裏切り者が【糾弾ホームルーム】で暴かれ、そして追放されることになるだろう。
「はいぃ、安藤君。いかがですかぁ? この緊張感あふれる学校生活はぁ――」
黙って資料だけ寄越せばいいものを、わざわざ余計な一言を添えてくる姫乙。あえて無視したところで彼が黙るわけがない。
「まぁ、君にとってはぁ、大きなスクールカーストの壁を乗り越えぇ、今や2年4組に欠かせない存在となりましたぁ。こんなことが起きでもしない限り、いまだに教室の隅っこで寝たふりをしている昼行灯だったかもしれなのにねぇ――」
姫乙の言っていることは間違っていなかった。でも、現状に感謝するつもりはない。多くのクラスメイトの命が失われ、まだそれでも物足りないという状況に陥るくらいならば、卒業まで昼行灯でいたほうがマシだった。こんな状況で必要とされる自分を、ほんの少しだけ呪いたくなる。
徹底的に無視してやると、姫乙は面白くなさそうに眉をひそめ、ようやく安藤のそばを離れた。安藤は小さく溜め息を漏らすと、資料を開く。前回のものとは違い、実に内容はシンプルで淡白なものとなっている。きっと前回もこのような形で資料が上がってきたのだろうが、姫乙が改稿に改稿を重ねた結果、ふざけた感じの資料となったのであろう。とにもかくにも、この資料の中に答えがあるはず――安藤は資料の中へと意識をダイブさせた。
【事件概要。発生時刻、本日午後1時すぎ。校内の道場にて生徒が遺体を発見。遺体はボウガンの矢で背部を撃たれており、鑑識の結果、それは心臓部にまで達していた。死因は心臓からの大量出血による外傷性ショックだと思われる。他に目立った外傷は見当たらず、また争った形跡などもなかった】
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