糾弾ホームルーム! ―ぼくたち、わたしたちの主張―

鬼霧宗作

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#3 罠と死体とみんなのアリバイ【復讐篇】

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 姫乙は封筒をポケットから取り出すと、それを開封して咳払いをひとつ。そのタイミングを見計らったかのごとく、アンジョリーヌ達が到着。ここまで走ってきたのか、アンジョリーヌを筆頭に全員が肩で息をしていた。大切なタイミングに間に合うように駆けつけるのは、彼女達の特異な能力なのかもしれない。

「えー、それでは発表しまぁぁぁす」

 国営テレビが駆けつけてからしばらく。カメラが回り始めたことを確認した姫乙は、またしてもわざとらしく咳払いをすると、封筒から便箋を取り出し、それを広げた。本当に普通に発表するようだが、それができるなら最書からやって欲しいものだ。

「今回、アベンジャーが諸君らに勝利した場合に与えられるご褒美は、アベンジャーも含めて2年4組全員――」

 姫乙がそこで言葉を詰まらせた。水を打ったような静けさ。おそらく、カメラ越しでも、この妙な緊張感は伝わることであろう。

「皆殺し」

 姫乙でさえ、その言葉を絞り出すのに、ほんの少しの間が生じた。それだけ単純でありながら分かりやすいワード。これまでだって、結局のところ全員が死んでしまうようなご褒美ばかりだったが、ここまでストレートでぞっとするような言葉があっただろうか。最終的な着地点は同じであるはずなのに、それには明らかな悪意が込められていた。

「今回はどうにも毛色が異なりますねぇ。なぜならぁ、アベンジャーも含めて全員皆殺しですからぁ。つーまーりー、これは実際にご褒美を受け取る側の人間までもがぁ、殺されてしまうことになりますぅ。これではぁ、ご褒美もへったくれもありませんねぇ……。それとも、今回の復讐を果たしたアベンジャーはドMなのでしょうかぁ?」

 姫乙の冗談なのか分からない問いかけはともかく、これは一体どういうことなのだろうか。アベンジャーが勝った場合――すなわち【糾弾ホームルーム】を切り抜けた際、その褒賞として与えられるのはアベンジャーを含む2年4組の皆殺しである。すなわち、アベンジャー本人も殺されてしまう。

「ま、まぁ――。アベンジャー本人が望んだわけですから、その真意はさておき、受理させていただくとしましょう」

 毎回付け加えていた全員爆発の刑も、アベンジャーを含む全員皆殺しの衝撃に、すっかり忘れてしまっている様子の姫乙。真意も分からなければ意図も分からない。分からないが、勝てばアベンジャーへの褒賞も発生しない。今はただ勝つことに集中したほうがいいのかもしれない。
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