糾弾ホームルーム! ―ぼくたち、わたしたちの主張―

鬼霧宗作

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#3 罠と死体とみんなのアリバイ【復讐篇】

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「ちょっと大槻さん――。今は兵隊とか関係者がいるんだから、その話はやめておいたほうがいいよ」

 声を潜めた小宮山が、少し慌てた様子で言う。その話とは、水面下で安藤達が反撃の機会を伺っていることを指しているのだろう。

「いいえ、構わないわ。だって、すでに姫乙に筒抜けなのかもしれないのだから」

 兵隊達は反応を示さない。反応は示さないが、きっと聞き耳を立ててはいるだろう。もちろん、おかしな言動があれば、姫乙まで報告が上がったりもすると思う。けれども、芽衣はすでに開き直った様子だった。

「――さっき、姫乙はって言葉を使ったでしょ? あれって、どういう意味合いで使ったと思う?」

 誰に問うでもなく投げかけられた芽衣の問いかけを、真綾がキャッチする。

「そりゃ、またクラスからアベンジャーが出たからじゃね? 同じクラスの人間がクラスメイトを殺したから」

 真綾の言葉に同意するかのごとく香純が頷いた。一同は階段へと差し掛かり、すでに数段のぼっていた芽衣が振り返る。

「それは元々の仕様よ。私達は誰もがアベンジャーである可能性があって、誰もが復讐をする権利を与えられている。この条件の中で復讐を実行に移しても、別に私達を裏切るってことにはならないでしょう? 当たり前の権利を行使したわけだし、今回の一件そのものが、そういう決まりの下で成り立っているのだから、やっぱり裏切り者という表現を使うのはおかしいわ」

 姫乙はつい先ほど、安藤達の中に裏切り者がいると宣言した。だが、どうやらそれは、姫乙的には大失言だったらしい。芽衣の言わんとしていることを察した安藤が続く。

「それに、このクラスは正直なところスクールカーストが酷かった。今はこうして普通にみんなで話してるけど、こんなことにならなかったら、まず関わらなかった同士もいるよね?」

 安藤の言葉に本田が口を開く。

「まぁ、俺の場合はここにいるほとんどと関わらなかっただろうなぁ。今だから言うけど、安藤とか結構見下してたところもあるしよ。あ、言っとくけど今は違うぜ。凄ぇ奴だと思ってる」

 口を開いたのは本田だけであったが、しかし誰もが同様のことを思っていたのであろう。ギャルグループの真綾や香純が、舞や小雪に関わることはなかっただろう。芽衣に関しては、誰とも関わりはしなかったはずだ。つまりこのクラス――少なくとも外から見る限りでは、仲が良くない。
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