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#3 罠と死体とみんなのアリバイ【復讐篇】

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「いやいや、本当に何を言っているのかと耳を疑いましたよぉ。しかも、これまで事件を解決に導いてきた芽衣ちゃんと安藤君が一緒にいながらですぅ。たーしーかーにぃ、状況的には不可能犯罪に見えますがぁ、その辺りのことはプロに調べてもらえば分かるのではないですかぁ? 素人が無理に調べようとするとぉ、大切な証拠まで見落とすかもしれませんよぉ。そんじょそこらのデスゲームじゃあるまいしぃぃ」

 姫乙という男は、一度相手を陥れるとなると、トコトンこき下ろすようなところがある。メンタル的な面で優位に立ちたいのであろうが、本当に性格が悪いやつだと思う。しかも、かなり前から安藤達の様子を伺っていた辺りも、性根がひん曲がっているとしか言いようがない。

「それではぁ、プロの方にお願いしますかぁ。鑑識のみなさーん。安藤君達の中に裏切り者がいるようですのでぇ、しっかりと調べて差し上げて下さいぃぃ」

 そんな姫乙は、安藤達のことなど完全に無視して、さっさと事を進める。パンパンと手を叩くと、ガスマスクをした鑑識官達がわらわらとやって来た。

「それではぁ、現場の捜査が終わるまで、諸君らは教室にて待機ですぅ。はい、兵隊のみなさーん。こいつらが教室から勝手に出たり、妙なことをしないように、しっかりと見張ってねぇぇぇ」

 もう一度姫乙が手を叩くと、小銃を携えた兵隊達が登場。安藤達に銃口を向け、そして、銃口の動きだけで指示を出す。銃口を道場の外に向けたのは、外に出ろという合図のつもりなのだろう。逆らったところで無駄な抵抗であるため、大人しく両手を挙げて指示に従う。

「はいはいはいはい、国営テレビの方々も勝手にカメラを回さない。鑑識という作業は非常にデリケートなのですぅ。後で好きなだけカメラを回してもらって構いませんからぁ、今はご遠慮いただけますかぁ?」

 カメラを回す準備をしていたのであろう。化粧をさっと直し、髪型を手ぐしで整えていたアンジョリーヌの肩を姫乙が叩く。すれ違いざまに見たアンジョリーヌは、面白くなさそうな表情をしていた。

 まるで兵隊に拘束されているかのごとく、自然と列を作って教室へと戻る安藤達。ふと、本田が呟く。

「裏切り者って――なんだよ?」

 その言葉には、カーストの上位に君臨していた頃の、実に本田らしい恐ろしさのようなものが込められていた。

「言葉の通りだと思うわ。どうやら、私達の企みが姫乙に勘付かれているみたいね――」
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