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#3 罠と死体とみんなのアリバイ【復讐篇】
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「今のところなんとも言えない――。でも、変な違和感があるんだ。言葉で説明しろと言われても難しいんだけどさ」
現時点では、その違和感が何を示しているのかは分からない。これまでに気付いた細かな疑問点を繋ぎ合せ、それら全てに答えを出したとしても、事件の全貌にはたどり着けないような気がする。それくらい、この事件は奇妙な感じがするのだ。
「あー、なんてことだぁ。あの、星野崎君が亡くなってしまうなんてぇ」
大根役者もびっくりの、まるで台本棒読みの言葉が聞こえてきたのは、その時のことだった。声のしたほうへと視線をやると、事態を見守っていた真綾達の中に、いつしか姫乙が混じっていた。
「彼は独特のぉ――なんというか嫌われ者属性でしたからぁ、次に何かが起きた時にアベンジャーとして真っ先に疑われる要員になっていたでしょうにぃ。お母様のキャラクターなんてぇ、この姫乙でもドン引きするほど素晴らしかったのにぃ。本当に残念でなりませぇぇん」
棒読みに拍車がかかり、もはや洗練された読経のようにすら聞こえてしまう。感情がこもっておらず、さもあらかじめ用意しておいた台詞だけを喋っているような感じの姫乙。土足のまま道場の中へ。もっとも、安藤達も上履きのまま道場に上がり込んでしまっているわけだが。
「さてぇ、諸君。見てもらえば分かる通りぃ、アベンジャーによる復讐が実行に移されましたぁ。これより、復讐法に則りぃ、諸君らは強制的に拘束され【糾弾ホームルーム】を行っていただきますぅ」
急にスイッチが入ったかと思うと、満面の笑みで辺りを見回す姫乙。星野崎がアベンジャーに殺害されたことが、さも嬉しいかのような笑顔――いや、実際にそうであろう立ち振る舞いを見せる。
「それと、何やら姫乙が来る前にこそこそと現場を調べていたみたいですけどぉ、ひとつだけトンチンカンなことを言っていたのでぇ、しっかりと諸君らに現実を教えて差し上げようと思いまぁぁぁぁす」
姫乙はそう言うと咳払いをひとつ。ようやく事態に気付いたのか、アンジョリーヌ達が駆け付けた。だが、状況を把握していないせいか、カメラは回していないようだった。
「あのですねぇ――部外者が犯人なんてこたぁ、あり得ませんからぁぁぁぁ! つーまーりー、星野崎君をこんな姿にしてしまったアベンジャーは……この中にいますからぁぁぁぁっ!」
それは分かっていながら分かりたくなかったこと。知っていながら知りたくはなかったこと。それを認めることは――安藤達の中に裏切り者がいることを認めることになるのだから。
現時点では、その違和感が何を示しているのかは分からない。これまでに気付いた細かな疑問点を繋ぎ合せ、それら全てに答えを出したとしても、事件の全貌にはたどり着けないような気がする。それくらい、この事件は奇妙な感じがするのだ。
「あー、なんてことだぁ。あの、星野崎君が亡くなってしまうなんてぇ」
大根役者もびっくりの、まるで台本棒読みの言葉が聞こえてきたのは、その時のことだった。声のしたほうへと視線をやると、事態を見守っていた真綾達の中に、いつしか姫乙が混じっていた。
「彼は独特のぉ――なんというか嫌われ者属性でしたからぁ、次に何かが起きた時にアベンジャーとして真っ先に疑われる要員になっていたでしょうにぃ。お母様のキャラクターなんてぇ、この姫乙でもドン引きするほど素晴らしかったのにぃ。本当に残念でなりませぇぇん」
棒読みに拍車がかかり、もはや洗練された読経のようにすら聞こえてしまう。感情がこもっておらず、さもあらかじめ用意しておいた台詞だけを喋っているような感じの姫乙。土足のまま道場の中へ。もっとも、安藤達も上履きのまま道場に上がり込んでしまっているわけだが。
「さてぇ、諸君。見てもらえば分かる通りぃ、アベンジャーによる復讐が実行に移されましたぁ。これより、復讐法に則りぃ、諸君らは強制的に拘束され【糾弾ホームルーム】を行っていただきますぅ」
急にスイッチが入ったかと思うと、満面の笑みで辺りを見回す姫乙。星野崎がアベンジャーに殺害されたことが、さも嬉しいかのような笑顔――いや、実際にそうであろう立ち振る舞いを見せる。
「それと、何やら姫乙が来る前にこそこそと現場を調べていたみたいですけどぉ、ひとつだけトンチンカンなことを言っていたのでぇ、しっかりと諸君らに現実を教えて差し上げようと思いまぁぁぁぁす」
姫乙はそう言うと咳払いをひとつ。ようやく事態に気付いたのか、アンジョリーヌ達が駆け付けた。だが、状況を把握していないせいか、カメラは回していないようだった。
「あのですねぇ――部外者が犯人なんてこたぁ、あり得ませんからぁぁぁぁ! つーまーりー、星野崎君をこんな姿にしてしまったアベンジャーは……この中にいますからぁぁぁぁっ!」
それは分かっていながら分かりたくなかったこと。知っていながら知りたくはなかったこと。それを認めることは――安藤達の中に裏切り者がいることを認めることになるのだから。
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