糾弾ホームルーム! ―ぼくたち、わたしたちの主張―

鬼霧宗作

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それぞれの週末【2】

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 その言葉に姫乙は気味の悪い笑みを浮かべるばかり。

「確かにぃ、しかし彼女はそこまで愚かではありませぇん。迂闊にぃ、それこそ露骨に取り入るかのように体を売るような真似はしませんよ」

 姫乙はそこで言葉を区切ると、小さなテーブルを挟んだ向こう側のほうへ手を差し出した。どうやら、座れという意味らしい。

 てっきりさっさと始めてしまうものだと思っていたのだが、そうではないらしい。姫乙はかたわらに置いてあった鞄に手を伸ばすと、資料らしきものを取り出す。

「何か飲み物はぁ? お酒は20歳になってから――なんてのは、便宜上のものであってぇ、未成年でもガンガン飲んでるでしょう? それに関しては、大人も口うるさく言わないしぃ、国も特に対策をしませぇぇぇん。なぜだか分かりますかぁ?」

 小さな冷蔵庫を漁りながら問うてくる姫乙。彼女が黙ったままでいると、彼は可愛らしいカクテルのようなものを取り出しつつ、再び口を開いた。

「酒税により国が潤うからですぅ。人間ってのは愚かなもので、ひとたび快楽を覚えてしまえばぁ、それを忘れられなくなるのですぅ。煙草に然りぃ、酒に然りぃ、セックスに然りですぅ。ですからぁ、私は以前よりセックスにも税金をかけろと言っているのですがねぇ。まぁ、それはやりすぎですかねぇ」

 カクテルが彼女の前に置かれる。それはアルコールなんて入っていないに等しいカクテルだったが、あまりお酒を飲み慣れない彼女からすれば、それは充分すぎるほどに酒だった。

「さてぇ、越井香純さぁぁあん。資料によりますと、中学時代と現在ではかなりの変貌ぶりのようですぅ。お互いに親友だと思っていたはずの同級生、進藤舞さんともぉ、高校に入ってから疎遠になっているようですねぇ。確かにぃ、あなた達の間にはギクシャクとしたものが垣間見えていましたねぇ」

 舞は中学校時代の大親友。よく、一緒にアニメのイベントなどに通っていたものだ。アニメのキャラクターに本気で恋をしてみたり――なんてこともしていた。それが世間一般からズレた認識だと知ったのは、きっと中学を卒業するちょっと前だった。

「そんなことはどうでもいいしさ。そろそろベッドに行かない?」

 缶入りのカクテルを一気に飲み干してしまうと、彼女――香純は姫乙をベッドに誘う。すると、これまた気持ち悪い笑みを浮かべた姫乙が、椅子から立ち上がりつつ、こう呟いたのであった。

「さてさて、2年4組のみなさんはぁ、何を企んでいるのでしょうねぇ――」


【Go to next homeroom】
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