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#2 ぼくとわたしと禁断の数字【エピローグ】

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 小雪お嬢様の指示で家政婦達が動き出し、いよいよ何かが動き出したという気にさせてくれる。

「とりあえず、次に何かが起きるまで、少し時間が空くはずよ。それまでに新しいスマートフォンを学校に持ち込んで、使えるかどうかを試しましょう」

 スマートフォンの手配は、ようやくお嬢様らしい一面を見せた小雪の一存で進められる。せっかく新たにスマートフォンを用意してもらうのだから、学校で使えることを願いたい。

「それでさ大槻、具体的に何をするつもりでいるの? どうせ私達にも話すことになるんだから、とりあえず何をするかだけでも教えてよ」

 真綾の言葉に芽衣は首を大きく横に振った。しかも、悪戯そうな笑みを浮かべながらだ。

「それは直前まで秘密にするわ。まぁ、準備が整い次第って感じかしら。とりあえず、今はまだ話せないわ」

 芽衣は芽衣でギリギリまで策を公表するつもりはないのだろう。みんなを信用しないわけではないのだろうが、変なところから情報が漏れてしまったら台無しだ。芽衣も大切にいきたいのであろう。

「姫乙をぶっ潰すためにはなんだってやる――。今回は大槻に任せるからよ、凄ぇのを頼むぜ」

 本田は本田で溜まりに溜まったものがあるのだろう。両手の指の骨を鳴らしつつ、少し先の宙を睨みつける。

「私達は何もしていないのに、ここまでコケにされたのよ? 私にだって限界というものがあるし、やるとなればやれるところまでトコトンやらせてもらうつもりよ。本田君こそ、しっかりついてきてね」

 芽衣に策略とはどんなものなのか。安藤達は何をして、どのように動けばいいのか。それはまだ不明であり、芽衣の頭の中にしかない。

「分かってるよ。なぁ、安藤に小宮山。正式に土俵の上に残ってる野郎は、俺達と星野崎だけだ。俺達の意地って奴を見せつけてやろうぜ。大槻にだけ任せて、俺ら男どもが引っ込んでるなんて格好悪いからよ」

 リーダーシップを遺憾いかんなく発揮する本田。彼が言うと、どんな無茶なことでも何とかなりそうに思えてくるから不思議だ。

「うちら女子だって負けていられないね――」

 真綾の言葉に女性陣が頷く。

「一人一人じゃ微力かもしれない。でも、みんながひとつになれば、きっと姫乙を――帝国政府を相手にやり合えるはずよ」

 芽衣が立ち上がり、そっと手を差し出した。自然とそれに従って、みんなが芽衣の手に己の手を重ねた。

「――おい、委員長。こういう時くらい華を持たせてやるよ」

 本田がそう言って笑い、なんだか緊張気味に頷いた小宮山が、大きく息を吸い込んだ。

「2年4組! 絶対に勝つぞぉぉぉぉぉ!」

 声を張り上げたまでは良かったが、最終的に声が裏返ってしまった小宮山に苦笑いを浮かべつつ、一同は円陣の中心に向かって掛け声をあげたのであった。


【#2 ぼくとわたしと禁断の 数字 ―完―】
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