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#2 ぼくとわたしと禁断の数字【エピローグ】

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 その光景は圧巻だった。そして、姫乙の――いや、大日本帝国政府の狡猾なやり方に震えた。

 挙手。全員が挙手。クラスがひとつにまとまった証拠と言っても過言ではない満場一致。芽衣の推測を聞かされて、誰もが素直になった結果でもあった。みんな、それぞれにそれぞれのことを眺めているが、芽衣の推測の段階で、全員がアベンジャーである可能性を確信へと変えていたのであろう。

「やっぱり、睨んだ通りだったわね。みんな、手を下ろしてもらっても構わないわ」

 芽衣の言葉に自然と安堵の溜め息が漏れた。自らが背負わされてしまった運命から、なんだか解放された気分にもなった。この状況がいつまで続くか分からず、坂崎のように無理矢理に舞台上に引っ張り出される恐れもあったからだ。それと同様の恐怖を、みんなで共有していたとなると、なんだか少しだけ気が楽になった気がした。

「姫乙の野郎――ふざけた真似をしやがって」

 自らの正体を隠すのは、アベンジャーとしては当然の行為である。けれども、その行為自体が恥だとでも考えたのか、声を震わせる本田の耳たぶが真っ赤だ。

「でも、よくこんなことに気付いたね。私、そんなこと微塵も思わなかった。とにかく、自分がアベンジャーになっちゃったから、どうしよう――って気持ちばかりが強くて」

 小雪の言葉に舞が賛同するように頷く。こうやって見ていると、本当に舞は小動物のようだ。

「最初に引っかかったのは、姫乙がアベンジャーへのご褒美を読み上げた時よ。あの時、もし私達が負けたらアベンジャーに与えられるのは、アベンジャーを除くクラスメイト全員の餓死だった。でも、それだと誰も対象にはならない。だから、姫乙は続けて全員爆発――なんてルールを付け足した。これに関しては、アベンジャーを除くかどうかは明確にされていないから、私達が負けた時のペナルティーとして発動できる。なんだかんだ理由を付けてはいたけど、あの爆発というルールもまた、しっかりとした根拠があって付け足されたものだったってわけ」

 姫乙の単なる思いつき。そう思えた追加ルールであったが、それすらにも根拠と理由があったとは。あれを思いつきだと安藤達に思い込ませることが、姫乙の腕の見せどころだったのかもしれない。

 これまで当然のように見てきた――当然のように見過ごしてきた景色が、一気に別のものへと変わった瞬間だった。誰もがこの状況に戸惑っていることであろう。
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