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#2 ぼくとわたしと禁断の数字【糾弾ホームルーム篇】

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「マジかよ――。大槻、それ本気で言ってるのか?」

 本田の言葉に芽衣は頷き「本気の本気、大本気よ――」と力強く言い放ち、そのまま視線を安藤のほうへと寄越してきた。

「安藤君はどう思う? やってやれないことはないと思うんだけど」

 確かに芽衣の提案はやってやれないことはないだろう。細心の注意を払わねばならないし、何よりも姫乙に気付かれるわけにはいかないが。

「悪くはないと思う。万が一、途中でばれた時のことが怖いけど」

 安藤は率直な意見を述べる。はっきり言って、芽衣の提案は反逆罪レベルどころではない。ロジカルな面――ごくごく一般的なルールとして、それがまかり通るのであれば、実に有効な手段となり得るが、相手は帝国政府の人間である。しかもその姿はテレビで放送されているのだ。権力はあくまでもあちらのほうが強く、握りつぶされてしまえば終わり。ゆえに、リスキーであることは間違いない。

「――それはそうと、星野崎君はどうする? ここにいないけど」

 やはり、良くも悪くも人数が減ってくれたおかげで、普段ならば絶対に発言しないような人間の言葉が増えている。大人しいばかりだと思っていた舞が、思ったよりも堂々と意見を言うタイプのようで、少しばかり驚きである。

「あいつはどうせ話に乗らないし、下手に手の内を明かさないほうがいいんじゃねぇか? それに、なんだか平気で俺達のことを裏切りそうだ」

 本田が言うと、小宮山が小さく何度も頷いた。星野崎が下手をすると荷物になる――それは、彼のことを知っている人間ならば、誰でも考えることなのかもしれない。本人は大したことないのに口だけは達者。虚勢を張ることと親の後光にすがることは大得意。そんな人間を信用しろというほうが無理な話だ。

「でも、それはそれで問題にならないかなぁ? 彼だけ私達の思惑を知らないってことになるんでしょう?」

 カーストではそこそこの位置にいながら、クラスであまり目立たなかった小雪もまた、今ではしっかりと発言権を得ていた。カースト下位に属する安藤がこんなことを思うのは変なのかもしれないが、いざ話してみるとみんなが普通というか、しっかりと考えを持っているのだなと感じた。モブキャラと呼ばれる人間は、もうこの中にはいないのだ。誰もが主役級の役割を担っている。この発想を普段から持ち合わせていれば、安藤の学校生活も変わっていたのかもしれない。
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