糾弾ホームルーム! ―ぼくたち、わたしたちの主張―

鬼霧宗作

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#2 ぼくとわたしと禁断の数字【糾弾ホームルーム篇】

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「あの、安藤さん。全国の人達があなた達に注目しているです。何か一言だけでも――」

「人ごとじゃないぞ……」

 あまりにもしつこかったがゆえに、考えるよりも先に口を突いて出てしまった。それはなかば脅しでありながらも、しかし自分で言っておきながら妙に的を射ているとも思った。自分でもこんなにドスのきいた声が出るものかと驚きもした。

「次はこれを見ている人達の中から選ばれるのかもしれない。世の中からは好奇の目で見られ、命がけで生き残ってみれば、マスコミから執拗に追いかけ回されて――。ちょっとした迷いでアベンジャーに選ばれて、人殺しを強要させられる。こんなふざけたことが法案として成立すれば、犠牲者は僕達だけじゃ済まなくなる」

 安藤の抗議に思うところがあったのだろう。みんなが立ち止まり、そしてカメラと記者を睨みつけるかのごとく凝視する。背後をバッチリと固めてもらった安藤は勢い付いた。

「こうして世の中が関心を持っていること、騒ぎ立てていることが、法案成立の材料になる。あなた達の子どもが殺し合いをするのがそんなに観たいか? 大切な仲間と殺し合いがしたいか? 犠牲になるのは僕達だけでいい――。僕達だけでいいから、少しそっとしておいてくれませんか?」

 最後の最後は記者に対するお願いのようになってしまった。記者だって仕事でやっているのだろうが、さすがにやり過ぎだと自覚したのであろう。バツが悪そうな顔をすると、頭を下げて身を引いた。マスコミ達が引き下がると、昼間の隙間の恐ろしいほどの静寂が訪れた。

「安藤、あんたって言うときは言うんだねぇ――。なんだかすっきりしたし」

 その静寂を破り、真綾が感心したかのように頷き、それに同意するかのごとく香純が小さく頷く。

「犠牲になるのは俺らだけいい――か。まったくもってその通りだな」

 きっと、どのように話を切り出していいのか分からなかったのであろう。久方ぶりに坂崎が口を開いた。その言い方にはなんだか自虐的な意味合いが込められていたような気もした。

「いや、もう誰も犠牲にならねぇ。俺が犠牲にさせねぇ――。死んだ奴らのためにも」

 握りしめた拳がわなわなと震える本田は、このクラスを襲った非日常をどう捉えているのだろうか。

「――なんとかできないかしら?」

 ぽつりと芽衣が呟いた。ぱっと聞いた限りでは、その言葉の意味が理解できなかった。
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