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#2 ぼくとわたしと禁断の数字【糾弾ホームルーム篇】

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 高校生はまだ子どもである。これは、安藤達高校生自身からすれば、とんでもなく不愉快な差別であるし、間違った見解だと思う。けれども、やはりどこかで子どもなのだ。言ってしまえば、大人と子どもの境目――中学生になると思春期などというデリケートな時期があるわけだが、またそれとは違った大事な時期が、高校生の時に訪れるのではないか。教科書に載っていないだけで、今の安藤達は成長過程におけるターニングポイントを迎えている。そんな大事な時期を迎えた子どもに、こんなことをさせるなんてとんでもない話だ。

「坂崎君、人を愛するというのはねぇ、そんなに簡単じゃないんですよぉ。例えばですけど、君は真下さんのぉ、どんなところが好きなんでしょうか?」

 人の心に土足でズカズカと上り込む姫乙。坂崎からすれば、姫乙から説教じみたことなんて言われたくないだろうし、いい迷惑でしかないだろう。しかも、これは全国放送されているのだ。どこの誰かも分からない人達が見ている中、真綾が好きだったことをカミングアウトした上に、どこが好きなのかなんて追求されるのは、もはや公開処刑でしかない。

「そりゃ、色々を含めて――」

「違いますねぇぇぇ。君達くらいの年齢の恋愛というのはぁ、まず第一にセックスでしょう? とにもかくにもぉ、初体験というものをさっさと済ませてしまいたい。そのためだけにぃ、その辺りの適当な相手を、好きになったつもりになってぇ、やれ見せつけるように人前でイチャイチャしてみたりぃ、まだ異性というものを大して理解していないくせにぃ、たまたま同じ高校の、そこそこの顔の奴と結婚するとか言い出すんですぅ」

 坂崎の言葉を遮った姫乙は、高校時代の恋愛にトラウマでもあるのだろうか。確かに、これ見よがしに人前でイチャついたりするカップルはいる――というか、本田と真綾がまさにそれだった。そして、坂崎は本田の親友として、それを横で見ていたのだ。ずっと真綾に想いを寄せていたとしたら、それは随分と辛かったことであろう。それが例え姫乙の言うような、まだ現実が見えていない恋愛だったとしても、辛いことに変わりはなかったに違いない。大人になってから、どうして好きになったのか分からなくなるような相手なのかもしれないが、しかし現状の坂崎からすれば、辛かったことだけは間違いないのだ。

「自立して生きて行くことが、どれだけ大変なのかも知らないガキが、簡単に結婚するとか言い出すんじゃねぇよ――って話ですよねぇ」
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