糾弾ホームルーム! ―ぼくたち、わたしたちの主張―

鬼霧宗作

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#2 ぼくとわたしと禁断の数字【糾弾ホームルーム篇】

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 カメラ目線で格好をつける姫乙。もう本性は国民のみなさまにばれているのだから、変に格好などつけなくとも良いのに。まぁ、本人がそれで構わないのであれば、好きなだけやらせてやるが、答えを引っ張り続けられるのも勘弁して欲しい。ほどほどにして仕事をしてもらいたいところだ。

 もう、答えはこれしかなかった。少なくとも、香純や委員長が【ナンバーキーパー】だという安直さはない。坂崎がしっかりと考え、策略をじっくり練っていたことが伺える。答えを多数決に持っていこうとしたやり方は、焦っていたのかやや強引ではあったが、しかし坂崎の言葉のマジックに気付かなければ、間違った人間を【ナンバーキーパー】だと答え、きっと全滅していたことだろう。

 簡単そうでいて、しかし紙一重だったと思う。とっさの機転とひらめき。それはなかば偶然の産物であり、展開次第ではいまだにたどり着けていなかったのかもしれない。また、クラスメイトのみんなが納得してくれるのが早かったのも大きい。この場面で本田辺りがごねていたら、ここまでスムーズに事を運ぶこともできなかったであろう。そう――このような偶然が重なったのもまた、坂崎こそが【ナンバーキーパー】であると告発しているかのようだった。

「諸君らが導き出した答えは――」

 もしアンジョリーヌ達が国営テレビでなければ、ここで間違いなくCMが入っているだろう。姫乙も姫乙で引っ張っているが、まさかこれもロスタイムに入ってはいまい。もしそうだったら、姫乙のさじ加減ひとつでなんとでもなってしまうわけだし。

 緊張の一瞬は、果たしていつなのか。姫乙がなかなか答えを出そうとしないから、覚悟を決めるタイミングを見誤ってしまいそうだ。何度も固唾を飲むのも嫌な話であるし、もうそろそろ答えを出すべきだ。まだカメラに向かってもったいぶっている姫乙に溜め息が出た。それと同時に姫乙の声が響く。

「正解っ! いやぁ、特に安藤君の洞察力には恐れ入りますぅ。私が無意識に口にしていた言葉から、実は真の【デスナンバー】が存在することに気付くなんてぇ。これに気付かれた時点で【ナンバーキーパー】の負けも決まったようなものだと言えるでしょう」

 感情のこもらない賞賛を受けても、嬉しくもなんともない。いや、感情がこもっていようが、クラスメイトを告発したことを褒められても、ちっともほまれではない。むしろ罪悪感が込み上げるだけ。
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