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#2 ぼくとわたしと禁断の数字【糾弾ホームルーム篇】

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 とにもかくにも時間がない。ただ、みんなから託された以上、責任を持って安藤はやるべきことをやるだけだ。言うべきことを言うだけだ。

 坂崎と再び目が合った。普段はヒエラルキーの下位のほうにいる安藤は、ごく普通のクラスとして機能していた時は、たまに坂崎からいじられる程度の間柄だった。まさか、いじり倒していた安藤に告発されるなんて坂崎も思っていなかっただろうし、安藤自身もまさかこんなことをすることになるとは思いもしなかった。

「坂崎君――君だっ!」

 これがクラスの総意。全員が納得して導き出した答え。安藤の推測が全て正しければ、坂崎は巧妙な策をしっかりと打っていたし、クラスメイトを欺くための手段まで用意していたことになる。そこには、確実にアベンジャーとしての役割を果たそうとした意思が伺える。

 姫乙が驚いたかのように目を丸くする。それはどうせポーズであり、いたずらに安藤達を不安にさせようとする演技でしかない。答えは――坂崎に決まっている。

「みなさぁぁぁん。本当にそれでいいのですかぁ? 正直なところぉ、まだロスタイムもかなりありますしぃ、考え直してみたらいかがですかぁ?」

 公平なスタンスを徹底するのであれば、この場で答えを揺るがすような真似はしないほうがいいような気がするのであるが、姫乙の人間性を今さら疑ったところで仕方がない。不安そうな視線がいくつか安藤のほうへと向けられていたことには気付いていたが、しかし「大丈夫。心配いらない――」と一蹴した。

「運命の瞬間です。彼らの出した答えは正しいのか。それとも間違っているのか。もはや、ここまできたら彼らの生還を願わずにはいられません。カメラの向こう側のみなさまも同じ想いではありませんでしょうか?」

 アンジョリーヌがカメラに向かって訴えかける。彼女もまた平等な立場から報道をするべきなのであろうが、世論を味方にするかのごとく、さりげなく安藤達のことを応援してくれる。

「姫乙、お得意のジャッジメントだ。僕達の答えが正しいのか、それとも間違っているのか――ジャッジしてくれ」

 揺さぶりをかけられたところで答えは変わらない。だから、後は姫乙からの判定を待つのみ。姫乙は小さく溜め息を漏らすと、席から離れて教壇に立った。

「それではぁ、どうやら答えが提示されたようですのでぇ、これより判定へと移りますぅ。果たして【ナンバーキーパー】の正体は坂崎君だったのか。それとも別の人間が【ナンバーキーパー】だったのか……」
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