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#2 ぼくとわたしと禁断の数字【糾弾ホームルーム篇】
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「全員が【デスナンバー】を決めた上でゲームを行う。これにより、宣言したナンバー次第では一発で【ナンバーキーパー】が分かってしまう。姫乙が僕達に図らった便宜だ。これは【ナンバーキーパー】にとっては不利にしかならない。だから、事前に坂崎君も対応策をとっていたんだと思う」
安藤はその対応策について、簡単に説明する。ロスタイムがいつ終わるか分からないから、実に簡潔に、そして分かりやすく。
数字で【デスナンバー】を公言してしまうと、いざ誰かが【デスナンバー】を踏んでしまった時に疑われてしまうことになる。それを回避するために、坂崎は数字で【デスナンバー】を公言したという事実を作り出しておき、みんなの目を欺こうとしたのである。あえて数字を二つも宣言してしまったのは、前者と後者というニュアンスの曖昧さを利用して、本命の前者――ドイツ語にて宣言された【デスナンバー】を隠蔽するためだったのだ。この辺りは姫乙との打ち合わせがあったのだろう。
実際に伊勢崎が踏んだと思われる【デスナンバー】は【3】【4】【5】のいずれか。表向きは【7】を【デスナンバー】としていた坂崎が疑われることはない。しかも、本命の【デスナンバー】である【3】は、坂崎が【デスナンバー】を決める以前に香純と小宮山が宣言している。もはや、彼からすれば万全の流れだったであろう。
安藤の説明を聞いた一同の視線は、坂崎へと集められていた。坂崎本人は、全ての視線を集めて安藤を睨みつけているように見えた。
「坂崎君は頭がいいし、冷静な判断力も持ってる。だからこそ、安易に多数決に持ち込もうとする姿が、どうにも違和感だったんだよ。あの時点で【3】を【デスナンバー】として宣言していたのは、表向きでは越井さんと委員長だけだった。まさか坂崎君がドイツ語で【ドライ】――【3】を宣言していたなんて、誰も気付きやしない。だから、さっさと多数決に持ち込み、間違った解答に僕達を誘導しようとしたんだ」
安藤の言葉を聞いて、信じられないといった様子で本田が呟く。
「朝陽――お前、マジなのかよ?」
本田の言葉に坂崎は俯くばかりだった。先ほどまでの勢いは消え、反論のひとつも出てはこなかった。
「本人を問い詰める前に解答をしていただけませんかぁ? 自供をさせて確信を得る行為はやめてくださいぃ」
姫乙の声が無情なまでに響き、一同が顔を見合わせる。本田が大きく溜め息をつき、そして安藤のほうを見据えてきた。
「安藤――悪ぃけど頼むわ」
安藤はその対応策について、簡単に説明する。ロスタイムがいつ終わるか分からないから、実に簡潔に、そして分かりやすく。
数字で【デスナンバー】を公言してしまうと、いざ誰かが【デスナンバー】を踏んでしまった時に疑われてしまうことになる。それを回避するために、坂崎は数字で【デスナンバー】を公言したという事実を作り出しておき、みんなの目を欺こうとしたのである。あえて数字を二つも宣言してしまったのは、前者と後者というニュアンスの曖昧さを利用して、本命の前者――ドイツ語にて宣言された【デスナンバー】を隠蔽するためだったのだ。この辺りは姫乙との打ち合わせがあったのだろう。
実際に伊勢崎が踏んだと思われる【デスナンバー】は【3】【4】【5】のいずれか。表向きは【7】を【デスナンバー】としていた坂崎が疑われることはない。しかも、本命の【デスナンバー】である【3】は、坂崎が【デスナンバー】を決める以前に香純と小宮山が宣言している。もはや、彼からすれば万全の流れだったであろう。
安藤の説明を聞いた一同の視線は、坂崎へと集められていた。坂崎本人は、全ての視線を集めて安藤を睨みつけているように見えた。
「坂崎君は頭がいいし、冷静な判断力も持ってる。だからこそ、安易に多数決に持ち込もうとする姿が、どうにも違和感だったんだよ。あの時点で【3】を【デスナンバー】として宣言していたのは、表向きでは越井さんと委員長だけだった。まさか坂崎君がドイツ語で【ドライ】――【3】を宣言していたなんて、誰も気付きやしない。だから、さっさと多数決に持ち込み、間違った解答に僕達を誘導しようとしたんだ」
安藤の言葉を聞いて、信じられないといった様子で本田が呟く。
「朝陽――お前、マジなのかよ?」
本田の言葉に坂崎は俯くばかりだった。先ほどまでの勢いは消え、反論のひとつも出てはこなかった。
「本人を問い詰める前に解答をしていただけませんかぁ? 自供をさせて確信を得る行為はやめてくださいぃ」
姫乙の声が無情なまでに響き、一同が顔を見合わせる。本田が大きく溜め息をつき、そして安藤のほうを見据えてきた。
「安藤――悪ぃけど頼むわ」
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