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#2 ぼくとわたしと禁断の数字【糾弾ホームルーム篇】
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『どいつもこいつも、もう少しドライにできないもんかねぇ? 死にたくないって感じのナンバーの選び方しかしてないし。まぁ、何人かは分かってるみたいだけどさ――』
またしても教室に坂崎の声が漏れ出した。アンジョリーヌが視線を安藤のほうに向けてきたから、大きく頷いて返事とする。必要としていた音声データはこれです――との意味合いも込めて。
「アンジョリーヌさん、わざわざありがとう。おかげさまで改めてしっかりと確認できたよ。真の【デスナンバー】を坂崎君が口にしていたことも含めてね」
安藤の言葉に対して、小宮山が「えっ? 今の発言の中に?」と声を上げる。自らの疑いが晴れたからか、なんだか嬉しげな声だった。
「あ、分かったかも。坂崎君、この発言の中で【死】という言葉を使ってる。これって【4】って解釈できない? 伊勢崎君が踏んだ可能性のある【デスナンバー】は【3】【4】【5】だから一致もするよね?」
難しそうな顔で音声データに耳を傾けていた小雪が、ふと顔を上げる。発想としては悪くはない。悪くはないが、しかしもっと明確に【デスナンバー】は提示されているのだ。
「悪くはない発想だけど、確実に姫乙に伝わるとは限らないわ。それに、坂崎君は同じ発言の中で【に】という接続詞を使っているけど【2】は【デスナンバー】じゃなかった。もっと明確で、確実に姫乙に伝わる方法があるのよ。まぁ、事前に姫乙と【ナンバーキーパー】の間で【デスナンバー】の伝え方を打ち合わせていた可能性が高いけどね」
芽衣が小雪の考えを軽く否定する。姫乙とて人間であり、言葉の中に隠されている数字を全部拾い上げるなんて真似は、一度聞いただけでは無理だろう。それに【死】に加えて【に】という言葉が出てきており、仮に小雪の考えが正しければ【デスナンバー】が複数個認められていたことになる。そんな馬鹿なことはさすがにないだろう。
安藤は姫乙のことを睨みつけた。相も変わらず、ニヤニヤとした仮面を張り付けた姫乙は、果たして何を望んでいるのだろうか。見事、安藤達が窮地を脱することか、それとも【ナンバーキーパー】が最後までみんなを出し抜くことか。わざとらしく取り出した懐中時計は、ロスタイムが再開されたことを告げていた。時間がない――。安藤は小さく溜め息を漏らし、そして核心をついた。
「ヌル、アインス、ツヴァイ――」
またしても教室に坂崎の声が漏れ出した。アンジョリーヌが視線を安藤のほうに向けてきたから、大きく頷いて返事とする。必要としていた音声データはこれです――との意味合いも込めて。
「アンジョリーヌさん、わざわざありがとう。おかげさまで改めてしっかりと確認できたよ。真の【デスナンバー】を坂崎君が口にしていたことも含めてね」
安藤の言葉に対して、小宮山が「えっ? 今の発言の中に?」と声を上げる。自らの疑いが晴れたからか、なんだか嬉しげな声だった。
「あ、分かったかも。坂崎君、この発言の中で【死】という言葉を使ってる。これって【4】って解釈できない? 伊勢崎君が踏んだ可能性のある【デスナンバー】は【3】【4】【5】だから一致もするよね?」
難しそうな顔で音声データに耳を傾けていた小雪が、ふと顔を上げる。発想としては悪くはない。悪くはないが、しかしもっと明確に【デスナンバー】は提示されているのだ。
「悪くはない発想だけど、確実に姫乙に伝わるとは限らないわ。それに、坂崎君は同じ発言の中で【に】という接続詞を使っているけど【2】は【デスナンバー】じゃなかった。もっと明確で、確実に姫乙に伝わる方法があるのよ。まぁ、事前に姫乙と【ナンバーキーパー】の間で【デスナンバー】の伝え方を打ち合わせていた可能性が高いけどね」
芽衣が小雪の考えを軽く否定する。姫乙とて人間であり、言葉の中に隠されている数字を全部拾い上げるなんて真似は、一度聞いただけでは無理だろう。それに【死】に加えて【に】という言葉が出てきており、仮に小雪の考えが正しければ【デスナンバー】が複数個認められていたことになる。そんな馬鹿なことはさすがにないだろう。
安藤は姫乙のことを睨みつけた。相も変わらず、ニヤニヤとした仮面を張り付けた姫乙は、果たして何を望んでいるのだろうか。見事、安藤達が窮地を脱することか、それとも【ナンバーキーパー】が最後までみんなを出し抜くことか。わざとらしく取り出した懐中時計は、ロスタイムが再開されたことを告げていた。時間がない――。安藤は小さく溜め息を漏らし、そして核心をついた。
「ヌル、アインス、ツヴァイ――」
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