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#2 ぼくとわたしと禁断の数字【糾弾ホームルーム篇】

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「――で、その真の【デスナンバー】は、どこに含まれていた? 俺が言うのも変な話かもしれないが、今のを聞いても【6】と【7】しか出てこなかったように思えたんだけど」

 アンジョリーヌのスマートフォンから流れた音声データ。それの余韻が残る程度には、静寂が教室には舞い降りていた。それを乱暴に破ったのは坂崎である。その表情には、まるで勝ち誇ったかのような笑みが張り付いていた。

「確認作業のほうは終わりましたでしょうかぁ? できることならばぁ、そろそろ時計の針を動かしたいと思うのですがぁ――」

 姫乙がそう言って懐中時計を取り出す。ロスタイムの再開。それは、安藤達の死へのカウントダウンに等しい。しかし、まだ確認しなければならない音声データがあるのだ。やはり、他人には言葉というツールを使って、伝えるべきことはしっかりと伝えるべき。分かってくれているだろう――なんて任せてしまうから、実際に欲しかった情報とは別の情報を持ち出されたのだ。アンジョリーヌだって厚意でやってくれていることだろうから、あまり文句は言いたくないのだが。

「まだだ。まだ、確認しなければならない場面があります。さっきも言った通り、坂崎君は数字という形ではなく、他の手段を用いて姫乙に【デスナンバー】を伝えた。そして、姫乙が数字のことを後者と表現したことを踏まえると――そのさらに前の発言にまでさかのぼらないといけない。アンジョリーヌさん、度々で申し訳ないんですが、今再生してもらった音声データのひとつ前――坂崎君のもうひとつ前の発言を録音した音声データを用意してもらえませんか? それと姫乙、ロスタイムの再開はそれを確認してからだ」

 安藤がアンジョリーヌに求めた音声データは、つい今しがた流れたものではないのだ。むしろ、それのひとつ前。ぱっと聞いた限りでは、全く関係のないことを口にしているだけにしか聞こえなかった坂崎の発言のほうなのだ。アンジョリーヌは頷いて、これまでと同じ手順で音声データを入手する。姫乙は黙って懐中時計をしまった。どうやら、とりあえずロスタイムの再開は回避できたようだ。

「データが届きました。これまでと同じように流します」

 カメラと視聴者を意識しつつも、淡々とした様子で音声データの公開を行うアンジョリーヌ。恐らく、これで決まる。坂崎の小細工はすでにお見通し。加えて音声データという決定的な証拠があるから、言い逃れもできまい。
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