糾弾ホームルーム! ―ぼくたち、わたしたちの主張―

鬼霧宗作

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#2 ぼくとわたしと禁断の数字【糾弾ホームルーム篇】

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「じゃあさ、その前者って何? 真綾が覚えている限りじゃ、坂崎は【6】と【7】しか宣言していないと思うんだけど」

 そこで口を挟んだのは真綾だった。坂崎は彼氏である本田の親友であるし、やはり肩入れをしてやりたいのだろう。その気持ちは痛いほどに分かるが、もはや答えは坂崎以外に考えられないのだ。

「だから数字じゃないんだよ。坂崎君は、数字を口にする以外の方法で、姫乙に真の【デスナンバー】を伝えたんだ」

 安藤は自分でも驚くほど自然に、アンジョリーヌのほうへと視線を移していた。つい今しがた一肌脱いでもらったわけだが、もう一度だけ手を貸して欲しい。

「アンジョリーヌさん。申し訳ないんだけど――」

 アンジョリーヌが相手にしているのは、なにも安藤達だけではない。全国にいる視聴者も相手にしているのだ。正直、生放送中に何度も話しかけられることは、彼女からすれば邪魔で仕方がないだろう。しかし、そんな素振りも一切見せずに頷くと「少々、お待ちください」と、カメラのほうに断りを入れ、こちらに視線を送ってくれるアンジョリーヌ。もはや、安藤の言いたいことは分かってくれていたようで、スマートフォンを操作する。

「全国のみなさん。またしても私に要請がありました。私とて一人の人間である以上、例え放送中であったとしても、彼らの要望を受け入れないわけにはいきません。しばらくお見苦しい場面をお見せしますが、どうかご容赦ください」

 スマートフォンを操作する姿をあえて見せながら、臨場感のあふれる言いわけを添えるアンジョリーヌは、さすがとしか言いようがない。こうして、視聴者はテレビへと引き込まれるのであろう。

 先ほどと同じように局へと問い合わせをしてもらい、必要なデータをアンジョリーヌのスマートフォンに送ってもらう。今回、必要となる音声データが坂崎の発言であるということは、もはや説明するまでもなかったであろう。

「いよいよ大詰めです。果たして彼らは無事に生き残ることができるのか。それとも、ここで志半ばのまま命を落としてしまうのか。今、私の元へと音声データが送られてきました。それでは、再生します」

 アンジョリーヌはそう言うと、音声を拾いやすくするためか、スマートフォンをかかげるような位置取りをしてから、それを操作した。

『俺が指定する【デスナンバー】は――【7】だ。あ、いや、ちょっと待った。やっぱり【6】で頼む』

 録音された坂崎の声が教室中に……いや、全国へと向かって響いた。
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