糾弾ホームルーム! ―ぼくたち、わたしたちの主張―

鬼霧宗作

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#2 ぼくとわたしと禁断の数字【糾弾ホームルーム篇】

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 ためらいそうになってしまう自分を奮い立たせるかのごとく、安藤は大きく首を横に振る。もはや、いつどのタイミングで、安藤達の負け――すなわち、時間切れが訪れるか分からない。ためらっている暇も、悩んでいる暇だって……多分ない。

 一同の視線が安藤に集められていた。普段は絶対に、ここまで注目されることはない。皮肉なことに今だからこそ輝ける。なんとも切なく虚しい立場だった。こんなところでしか輝けないのであれば、いっそ単なる昼行灯のほうがよっぽど気が楽だ。昼には役に立たない行灯も、夜になれば役に立ってしまうということか。ただし、その夜は誰しもが恐れる地獄の夜だ。その地獄の最中に――安藤達はいる。

「安藤君――。大丈夫、私も一緒に責任を背負うわ」

 安藤の様子を見て、そこに迷いが生まれていることに気付いたのであろう。芽衣が気を遣って声をかけてくれる。一緒に背負ってくれる人がいるとありがたいが、しかしこの答えを突きつけるには、あまりにも重すぎる。でも――誰かが背負わねばならない。いまだに戸惑っている自分に喝を入れるべく、安藤は力強く両頬を叩いた。

 答えは見えている。後はどれだけみんなが自分を信じてくれるかだ。本田という影響力の強い人物から答えを求められ、だからこそ答えを全力でぶつけるつもりではいるが、ある程度の覚悟はしなければならないだろう。

「僕達を見事に騙し、みんなを多数決に誘導することにより、自らの罪を逃れようと考えた人物。すなわち【ナンバーキーパー】は――」

 もう殴られる覚悟はできていた。怒鳴られる覚悟もあるし、強い口調で切り返されるであろうことも想定済み。それでも、言わねばならない。みんなに知ってもらわねばならない。安藤は一歩前へと踏み出すと、思い切り人差し指を突き付けてやった。

「君なんだよね? 坂崎君――」

 本田の近くにいた坂崎のことを指差すと、案の定、坂崎よりも本田のほうが先に反応を見せた。

「はぁ? 朝陽が【ナンバーキーパー】だなんて、ふざけたことを言ってんじゃねぇぞ!」

 案の定、殴りかかってはこなかったものの、本田から真っ先に反論が飛んで来た。誰よりも大親友である坂崎が【ナンバーキーパー】であるなんて言われて、当然ながら面白くないのだろう。

「本田君、ふざけるなら――わざわざ君の逆鱗に触れるようなふざけかたはしないよ。僕は本気だからこそ、坂崎君が【ナンバーキーパー】だと言っているんだ」

 安藤の言いたい意味は伝わってくれたらしく、本田は坂崎のほうを見て「マジかよ、朝陽――」と呟いた。
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