糾弾ホームルーム! ―ぼくたち、わたしたちの主張―

鬼霧宗作

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#2 ぼくとわたしと禁断の数字【糾弾ホームルーム篇】

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 冷静に考えろ。安藤は自身に言い聞かせる。これまでは【ナンバーキーパー】は誰なのか――という観点から状況を推測してきた。しかし、ここで一度視点を変えるべきなのではないか。すなわち、もし自分が【ナンバーキーパー】だったとしたら、どのようにこの状況を切り抜けたか。どのようにして他のクラスメイトをあざむいたか――いや、欺くにはどうするべきなのか。

 これは一種の心理戦。核となる【ナンバーキーパー】と、それ以外のクラスメイト達の心理合戦だ。その心理戦に――果たしてまるで策略なしの状態で【ナンバーキーパー】は挑んだのであろうか。

 今回のゲームでは【ナンバーキーパー】を含む全員が【デスナンバー】を指定するという、特殊なルールが採用された。これは、あくまでも安藤達にとって有利となるルールであり、自分の正体を知られたくない【ナンバーキーパー】からすれば余計なルールである。この状況で【ナンバーキーパー】が何かしら策を講じることはできなかったのだろうか。

「もう秒読みでロスタイムでぇぇぇす。そろそろ身の振り方を決めたほうがいいようですよぉぉぉ」

 懐中時計を眺めつつ、実に愉快そうな表情を浮かべる姫乙。きっと、安藤達がパニックに陥れば陥るほど、疑心暗鬼になればなるほど、その表情はさらに歪むことだろう。ならば、そうはさせない。むしろ、表情筋がきしむほど、その表情を引きつらせてやる。

「もう多数決にしようぜ! どうせ話し合っても答えなんて出ないんだからよ」

 残り時間がわずかであること。そして多数決を提案しているのが、自分の親友である坂崎だということ。それらの要素が重なり、本田も多数決に肯定的な姿勢を見せる。クラスの中で影響力のある彼が動けば、いよいよどうにもならなくなる。安藤は改めて自身の思考の中へと戻った。

 ――逆説的に考えて【ナンバーキーパー】の疑いがかかっている3人は、クラスメイトを欺くための何かを仕掛けていただろうか。改めてそう考えてみると、とてもではないが3人のうちのいずれかが【ナンバーキーパー】だとは思えない。特に香純と小宮山に関しては、策略がどうとかという以前に、もっと効率的で確実な戦略があったはずなのに、それを実行していないのだ。

 キーポイントとなるのは【1】だ。そう、安藤自身も【デスナンバー】として指定していた【1】である。香純と小宮山が【デスナンバー】を決めるタイミングで、どのナンバーが【デスナンバー】に指定されていたか――この辺りが特に重要となるだろう。
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