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#2 ぼくとわたしと禁断の数字【糾弾ホームルーム篇】
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「大槻さんが【ナンバーキーパー】ではないと想定して、どうせ宣言しないといけなかった【3】から、いっそのこと安全な【4】【5】を宣言してしまって【アントニオ】を成立させる。結果的にそっちのほうが確実――。確かに、伊勢崎君ならその辺りまで考えていそう」
伊勢崎がキレ者であることは、クラスの誰もが知っている。その伊勢崎ならば、目先の安全ではなく、絶対的な安全――つまり【アントニオ】を成立させてゲームを抜けることを考えるのではないだろうか。小雪の言葉に舞が申し訳なさそうに頷く。
「うん。だから大槻さんはそこまで見越した上で【デスナンバー】を【4】にしたんじゃないかな? 伊勢崎君なら先の先まで読んで【アントニオ】狙いをすると予測して――」
ただでさえ2択という状況だったというのに、土壇場でとんでもない理論をぶち込んでくれたものだ。けれども、それもあり得ないというわけではないから困る。普段はクラスでほとんど目立つことのない舞の発言により、事態はさらに混乱し始めた。
「またふりだしかよ! もう誰が【ナンバーキーパー】なんだよ?」
本田の苛立ちは最高潮。香純と小宮山、そして芽衣の3人が槍玉に挙げられている状態であるが、じっくりと話し合いをしている暇もなくなってきた。もうしばらくするとロスタイムに突入する。そして、安藤達はどれだけのロスタイムがあるのかを知らない。答えを出す前にタイムアップを告げられてしまうかもしれないのだ。そうなってしまったら全滅。時間切れだけは絶対に避けなければならない。
もし時間が無制限だというのならば、全員が納得できるまでトコトン議論してもいい。犠牲は出したくないが、まだ材料が欲しいとなれば、ゲームを行う余裕もあったことだろう。しかし、それが有限であり、なおかつ残り少ないとなると、やれることも限られてくる。
「五十嵐や進藤の意見を取り入れるならば、大槻も入れて、越井と小宮山の3人で多数決を取るしかない。どれだけ時間が残されているか分からない上に、明らかに決定的な材料に欠けている今、できる議論にも限りがある。もう、こうなったら一連托生。文句なしの多数決でいこう。そうでもしないと、答えを出す前に全滅する!」
坂崎の言いたいことは分かる。痛いほどに分かるのだ。そうせざるを得ない状況であることだって承知の上だ。でも、なんだか違和感があった。本当にこのままで良いのか――という違和感が。
伊勢崎がキレ者であることは、クラスの誰もが知っている。その伊勢崎ならば、目先の安全ではなく、絶対的な安全――つまり【アントニオ】を成立させてゲームを抜けることを考えるのではないだろうか。小雪の言葉に舞が申し訳なさそうに頷く。
「うん。だから大槻さんはそこまで見越した上で【デスナンバー】を【4】にしたんじゃないかな? 伊勢崎君なら先の先まで読んで【アントニオ】狙いをすると予測して――」
ただでさえ2択という状況だったというのに、土壇場でとんでもない理論をぶち込んでくれたものだ。けれども、それもあり得ないというわけではないから困る。普段はクラスでほとんど目立つことのない舞の発言により、事態はさらに混乱し始めた。
「またふりだしかよ! もう誰が【ナンバーキーパー】なんだよ?」
本田の苛立ちは最高潮。香純と小宮山、そして芽衣の3人が槍玉に挙げられている状態であるが、じっくりと話し合いをしている暇もなくなってきた。もうしばらくするとロスタイムに突入する。そして、安藤達はどれだけのロスタイムがあるのかを知らない。答えを出す前にタイムアップを告げられてしまうかもしれないのだ。そうなってしまったら全滅。時間切れだけは絶対に避けなければならない。
もし時間が無制限だというのならば、全員が納得できるまでトコトン議論してもいい。犠牲は出したくないが、まだ材料が欲しいとなれば、ゲームを行う余裕もあったことだろう。しかし、それが有限であり、なおかつ残り少ないとなると、やれることも限られてくる。
「五十嵐や進藤の意見を取り入れるならば、大槻も入れて、越井と小宮山の3人で多数決を取るしかない。どれだけ時間が残されているか分からない上に、明らかに決定的な材料に欠けている今、できる議論にも限りがある。もう、こうなったら一連托生。文句なしの多数決でいこう。そうでもしないと、答えを出す前に全滅する!」
坂崎の言いたいことは分かる。痛いほどに分かるのだ。そうせざるを得ない状況であることだって承知の上だ。でも、なんだか違和感があった。本当にこのままで良いのか――という違和感が。
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