糾弾ホームルーム! ―ぼくたち、わたしたちの主張―

鬼霧宗作

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#2 ぼくとわたしと禁断の数字【糾弾ホームルーム篇】

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 真綾が言うように、ズバッと決められるような根拠があればありがたい。けれども、2人にまで【ナンバーキーパー】は絞られたものの、決定的な一打が足りない。

 本物は正体を隠すために、誰かの宣言した数字を【デスナンバー】に指定する可能性が高い。その理論から考えれば、先に【3】を宣言した香純より、その後に【3】を宣言した小宮山のほうが怪しいことになる。ただ、厄介なのは――あくまでも可能性の領域に留まってしまうことだ。

「越井か――それとも小宮山か。さっき一馬が言った通り、ここはもう2択だ。これ以上突き詰めるには時間が足りないし、決定的な決め手もない。だからどうだろう? みんなの悔いが残らないように、多数決で決めないか? それならすぐに答えが出せるし、仮に間違ってしまっても、クラスの総意だったということで諦めがつく」

「坂崎君、決定的な根拠がないからと言って、多数決で物事を決めようとするのは安直過ぎるわ。少なくとも、私は他人に自分のことを委ねるようなことはしたくない」

 坂崎が提案したのは多数決だった。伊勢崎が【デスナンバー】を踏んでくれたおかげで【ナンバーキーパー】は2人にまで絞られたわけであるが、残念ながら決め手となる材料はない。時間的な都合を考えても、もう1ゲームやって――なんて余裕はないだろう。だから、材料が足りずとも、ここで決めてしまわねばならない。ゆえに坂崎は遺恨いこんが生じぬ多数決を提案したのであろうが、それを芽衣が即座にぶった切る。

「だったらどうするんだ? ここにいる全員が納得する形で【ナンバーキーパー】を選ぶなんて無理な話なんだよ。なぜなら、決め手となり得る材料が一切残っていないから。言ってしまえば、これはもう丁半博打みたいなもんなんだよ。丁か半か。必ずどちらかが当たりで、どちらかが外れ。必勝法なんてものはなくて、勘で勝負するしかない。残念ながら、俺達は全ての材料を集めることができなかった。だから、もう運に任せるしかない。でも、誰かに選択の責任を背負わせたくはないんだ。だからこそ、多数決をしよう。多数決なら誰も傷つかないから」

 しかし坂崎も負けじと切り返す。残念ながら坂崎の言っていることは正しい。ここまで【ナンバーキーパー】の可能性がある人間を絞り込むことはできたが、決定的な材料を得ないまま、ここまで来てしまった。責任を分散させる意味合いを込めるのであれば、多数決というのは有効な手段になるだろう。
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