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#2 ぼくとわたしと禁断の数字【糾弾ホームルーム篇】

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「さてぇ、最後になりましたねぇ。真下さぁぁぁん。お好きな【デスナンバー】をどうぞぉぉぉぉ」

 本田の次はいよいよ大トリの真綾である。この状況で彼女がどんな選択をするのか。実は真綾にいたっては、宣言するナンバーによって確実に疑いから外れることができる。それに彼女が気付いているか否かは別にして、簡単に判別できてしまうのは事実だ。

「じゃあ――真綾は【27】にしようかなぁ。今月じゃないけど、来月の27日は真綾の誕生日だし」

 本田に続いてなんとも安直な発想。本田と真綾の馬鹿ップルに溜め息のひとつくらい出でも良いのだろうが、しかし今回ばかりは安藤に確信を与えてくれた。来月の誕生日のことを引っ張り出してきたのも、その日まで生きていたいという彼女の願望なのかもしれないし、そう考えるとあながち馬鹿にもできない。生きたいと思う気持ちは誰でも同じだ。

「――これで、全員が【デスナンバー】を宣言しましたぁ。もちろん【ナンバーキーパー】もぉ、諸君らに混じって【デスナンバー】を宣言したわけですぅ。泣いても笑ってもぉ【デスナンバー】を踏めば一発即死。さっさと始めてしまいますかぁ」

 姫乙は大変嬉しそうに周囲を見回す。けれども、現時点でかなりの情報量が流出してしまったことに焦っているかもしれない。それとも、ここまでは姫乙の予定調和通りなのか。

 安藤はこれまでの情報を頭の中で整理する。ここまでで出た【デスナンバー】は【1】【3】【4】【7】【18】【27】【33】である。これ以外のナンバーは、どれを踏んでも絶対的に安全となる。すなわち、前半戦である【7】まで切り抜けてしまえば、かなりの人数が【アントニオ】でゲームから抜けることになるだろう。

 危険だと思いたくないのは、やはり自分の命がかかっている【1】か。このナンバーは、言わば諸刃の剣。安藤が無事であれば、そのナンバーを選んだ安藤、伊勢崎、舞、星野崎の4人が【ナンバーキーパー】ではないことが確定する。もし【1】が【デスナンバー】ならば、安藤はその先のことを知ることもなく、射殺されてしまうだろう。もちろん【ナンバーキーパー】の絞り込みはできるのかもしれないが、その人数が多い上に、死んでしまった安藤こそが【ナンバーキーパー】であるという疑念を残してしまうことになる。死んでしまった後のことなんてどうでも良いが、濡れ衣を着せられるのは勘弁して欲しい。すなわち、様々な観点から考えても【1】が【デスナンバー】だったら困る。
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